今回の公演には、大学生のみならず地域住民の方々が例年より多く見に来てくださり、能楽部一同大変嬉しく思っています。私達は、部員16名で活動しており、少ない人数ながらも無事講演を終えることができたのはOBの先輩方やプロの先生方、参加してくださった地域住民の方々のおかげです。
今回の公演には、「巻絹」という演目を選びました。この演目は「都の男が、勅命により巻絹を奉納すべく熊野権現に向う途中に、音無天神に参詣し和歌を歌うのですが、期日に遅れた罪で縛られてしまい、その男を天神の乗り移った巫女が和歌の素晴らしさを称えて、男を助け、神がかりの態で神楽を舞う」という物語です。この演目を演じるにあたり、役割別の自主練習や、立ち方と地謡の合わせ練、そしてプロの先生の指導と、去年の暮れから準備をしてきました。
立命薪能の特徴の1つは、公演開催までの準備すべてを部員だけで行うことですが、その中で一番大変だったのは能舞台の設営です。キャンパス内での設営であるため、限られたメンバーと時間でいかに良い舞台を作り上げるかが問われ、作り上げたときは、強い達成感を感じました。部員が一丸となり、1つの目標に向けてみなが努力しあった結果、部員同士の繋がりが強まりました。2年前までは「伝統芸能フェスティバル」の一貫でこの公演を行っていましたが、昨年からは単独開催ということになり施設面などで苦労することが多く、講演自体が存続の危機に陥ったこともあります。しかしこの困難を乗り越え、準備から講演まで無事に終わらせることができたことで、今後の能楽部の活動にも弾みがついたと感じています。 |