マイクロ機械システム工学は夢を実現するためのテクノロジーだ。

小西:みんなが「マイクロ機械システム工学科」に進学を決めた理由から教えてもらいましょうか。2004年に入学した第一期生のお二人はどうですか。

阿戸:ずばり、おもしろいことができそうだったからです。僕はもともと機械について学びたいと思っていました。それで進学先を決めるにあたって立命館大学の理工学部に新学科ができると知り、ここなら色んなことにチャレンジできるんじゃないかと考えて…。当時、兄が立命館大学の理工学部機械工学科で学んでおり、マイクロシステム技術研究センターといったBKCの施設・設備の充実ぶりを聞いて、進学しても絶対間違いはないと確信していました。

今泉:私はもともと、医療機器っておもしろそうだと考えていました。そんななか、極細のカテーテル等の微細な医療機器を取り上げたニュースに触れ、極小サイズの世界を追究できるマイクロ機械システム工学科に興味をもつようになりました。

元古:僕は二期生なんですけれども、僕も医療への関心からマイクロ機械システム工学科を選んだんです。医療に関する機械の研究をしたいと思っていたので、そうした分野もカバーするマイクロ機械システム工学に大きな魅力を感じました。

小西:みんな、かなり明確な目的意識をもって学科を選んでいるんですね。1回生のお二人はどうでしたか。

川合:私はテレビで特殊な構造をもつ新素材として期待されるカーボンナノチューブの存在を知ったことがきっかけです。身近なところだとテニスラケットなどに使われていて、それ以外にも幅広い応用が進んでいる新素材について学びたいと思い、ここを選びました。

大惠:カーボンナノチューブは炭素でできた直径数ナノ(10億分の1)メートルのチューブで、日本で発見された新材料です。鋼鉄の数十倍の強さと同時にしなやかさをもち、産業界も非常に注目しています。確かにとてもおもしろい研究テーマですね。

桑原:僕はみなさんのように現実的じゃなくて(笑)。中学生の頃にマイクロマシンやナノマシンが出てくるSF小説を読み、小説の世界を現実に研究できたら楽しいだろうな、と感じたことが進学の理由です。

尾崎:SF小説に出てくるマイクロマシンって、例えば血管中を移動して病気を治療するようなロボットとかですか?

桑原:そうです。夢みたいな話ですけど…。

尾崎:夢をもつってすごく大切なことですよね。それに夢を夢で終わらせないのが工学の魅力です。僕は今、大学院で小西先生の研究室に所属し、マイクロマシンで「音」を制御する研究に取り組んでいます。音をコントロールするマイクロマシンを壁一面に埋め込んで、歌を歌うときは室内の音を反響させる、また会議をするときは人の声が聞こえやすいように音を制御するとか…。それも昔なら夢みたいな研究だったと思います。マイクロ機械システム工学のポテンシャルはすごいですよ。桑原くんの夢も、絶対実現できると思うな。

平西:音をコントロールするって、とてもユニークな研究ですね。僕もみんなと同様に、マイクロ機械システム工学は可能性に満ちたテクノロジーだと感じています。すでに今でも、光ファイバ通信用の光スイッチ、インクジェットプリンタやハードディスクドライブのヘッドなど、マイクロ機械システム工学の技術が実現しているものは数多くあります。そしてこれからも、そのテクノロジーの発展とともに社会のあり方を変えていくのでしょう。

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