千里の道も、まずは一歩から。
先進的な研究のために基礎力を磨こう。

大惠:学部生のみなさんは実際にマイクロ機械システム工学を学んでみてどのように感じていますか。みんな満足してるかな?

川合:すごく楽しく学んでいますよ。私は「マイクロ機械システム概論」の授業で、マイクロマシンに使われるマイクロタービンについてプレゼンテーションをしたのが印象的でした。技術の知識を学んだ上に、表現力を磨くこともできました。

桑原:1回生はそうした概論の授業と、物理学や材料力学の復習が中心ですよね。正直今は、研究の基礎となる知識を身につける準備期間という印象が強いです。

小西:実はそれが私たち教員の狙いでもあるんですよ。先進的な研究には何が必要だと思いますか? 何よりも「基礎」が重要なんです。何かスポーツをやっている人が日々の基礎的なトレーニングを怠ると、試合でよい結果を出すことができないのと同じです。1回生から3回生までは工学の基礎を確実に身につける期間。特に1回生は基礎のなかの基礎を徹底して学びます。2回生からは実験がスタートし、徐々にステップアップしていきますから楽しみにしておいてください。

元古:実験の授業は本当に楽しいですよ。僕は「マイクロマシン実験1」で、シリコンの震動を計測したり光強度を調べる実験に取り組んだりしました。「機械工作実習」ではねじ切りの作業にも挑戦。こうした実験は一つ終えるたびに考察をまとめるのですが、結果が理想値と離れていて悩むこともしばしばです。その原因について、僕たちのグループは「誤差」とだけ書いて提出したことがありました。すると先生から駄目だしされてしまって。理想値と実験値がなぜ異なるのか、その要因は何かについて考えないと実験をした意味がないと説明されました。そこでグループのみんなで議論し、原因を考えました。あやふやな部分を残さず、結果と原因を追及する科学的な思考について学んだ印象的な授業です。

大惠:実験の意図を理解してもらえたのは担当教員として非常にうれしいですね。そうした考え方を常に忘れないようにしていれば、より高度な実験にもスムーズに取り組んでいけると思います。

今泉:また基礎の話に戻りますけど、3回生の実験でも1・2回生で学んだ知識がとても大切で、過去に使ったテキストを見直すことがよくあります。先ほど小西先生もお話しされたように、僕も基礎の大切さを実感しています。

阿戸:同感ですね。マイクロ機械システム工学科では機械工学と電気工学を中心に幅広い工学分野の知識が求められるので、特に基礎が大切になると思います。

小西:基本的に、マイクロ機械システム工学科は機械工学がベースになります。マイクロマシンの研究なら、まずは機械の設計図を描くところからはじまります。しかし、その機械を動かすには電気回路が必要になる。したがって電気工学の知識も不可欠になります。また、学んでおくべきなのは機械工学と電気工学だけではありません。だからこそすべての基礎となる分野はしっかりと身につけてほしいということなんですよ。

前のページ
マイクロトップ
座談会トップ
次のページ