3つの力と6つの運営方針

3つの力

研究室においてより専門的な知識を習得することはもちろんですが、必要となる知識や技術は時代や役割(立場)とともに変化するものです。例えば、皆さんが働き始めて20年後に必要となるであろう知識や技術は、今のものとは異なっているでしょう。したがって、より重要なことは、その時々で必要となる知識や技術を習得するための幅広い素養であり、課題に対応するためのアプローチの方法であり、その意欲だと考えています。また、長い人生においては様々な問題に直面することになりますが、それを乗り越えられると思えるような経験を持っていることが重要だと思います。このような考えから、研究を中心とした研究室での活動を通じて、以下のような力を磨いていける環境作りをしたいと思っています。

3つの力
自ら問題を見つけ、対応を考え、改善の方向を導く能動力:
自ら考え動く力は、最も求められている能力と言えます。課題を見つけ、解決策を見いだし、それを実行する。この一連の力は生きる力であり、得られる達成感は生きる喜びです。
様々な事柄の相互関係を考慮できるシステム思考力:
論理的な思考力、あるいは、全体像を把握することで今まで見えなかったものを見通せるような力です。様々な事柄が複雑に絡み合う環境問題は、このような能力を磨くには格好の材料です。
コミュニケーション力と国際感覚:
コミュニケーション力には、文章力、プレゼンテーション力、対話力、英語力などがあります。また、国際化する時代においては、単なる言葉の理解力だけでなく、異なる価値観の受容力も大切です。

これらの力はこれからの日本を担う皆さんに欠かせないものです。環境システム工学分野に必要というだけでなく、企業の採用担当者が求める一般的・普遍的な能力でもあります。このため、以下の方針で研究室の運営を行っていきます。

6つの運営方針

研究室の運営をできるだけ学生主体で行う:
4回生は「ゼミ係」「イベント係」「研究室係」のいずれかの担当となり、研究室の運営を担っていきます。ゼミの準備や司会者・報告者の調整、合同ゼミの準備や各種イベントの開催、学生研究室の物品管理や環境改善など、学生主体で行います。大学院生や教員がこれをサポートします。(能動力、コミュニケーション力)
早く卒業研究・修士論文に着手し、試行錯誤する時間をつくる:
研究も自主性に基づいて行っていきます。学生が取り組みたいテーマと研究室の研究テーマを照らし合わせながら各人の研究テーマを作っていきます。また、悩む時間をたくさん作ります。教員はできるだけ疑問を投げかけ、学生はそれに自ら答えるように努力します。(能動力、システム思考力)
「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」を旨とする:
良いものは、机上の空論と現場の制約が行ったり来たりしてできあがっていきます。研究を進める上では、現場に足を運んで観察し、あるいは様々な人と対話し、その研究が真実を捉えているのか、どのように誰の役に立つのか、といったことを常に意識するようにします。(能動力、システム思考力、コミュニケーション力)
システム思考に基づいて政策・企画の立案と評価に貢献する研究を行う:
教員の関心と経歴を活かし、主として政策の立案や評価に貢献する研究を行っていきます。この時、様々な事柄の相互関係を考慮できるシステム思考を大切にします。ライフサイクル思考はその典型ですが、表面的な現象だけでなく、その背後にある様々な事象を考慮した研究を行います。(能動力、システム思考力)
年に数回、他大学との合同ゼミを開催し、卒業・修了までに学会発表する:
合同ゼミや学会では、普段研究室で接する人とは違う人から、全く違った視点で意見をもらうことができます。これはとても新鮮な「目から鱗」体験です。逆に、普段接していない人にも分かりやすいプレゼンテーションが求められます。このような機会を複数設けていきます。(コミュニケーション力)
留学生・外国人研究者を積極的に受け入れ、研究室を国際化する:
世界には様々な国があり、違った価値観・意見を持っています。国際化する世界に合わせて、研究室もできるかぎり国際化し、異なる価値観・意見と交流する機会を作ります。また、大学院生はGRGP(Global-ready Graduate Program)に参加し、修士課程の間に海外留学することを奨励します。(コミュニケーション力)
※本ページ「3つの力と6つの運営方針」の内容については、下記でも紹介させていただきました。
橋本征二:サステナ教育?の奮闘、サステナ、Vol.28、pp.42-45、2012
サステナWeb版 該当箇所PDF