それは、さておき。
最後に、「ICOT人名鑑」の仮想社会 ーーつまり実在の人物をネタに私が言葉 によって作り上げた世界ーーの「異人」達についても触れておこう。彼らは一 節を設けて取り上げる程の人々にも思えないし、戸籍名という社会的符丁を超 えた 真実の名前を持つ人々でもない。かと言っ て、全く私の関心外に置かれているその他多くのICOT関係者でもない。以下に 取り上げる「異人」達が、いずれ私の心の中のこの仮想社会を、新しい地平に 導いてくれるかも知れない。
「4研のチックコリア」氏は、何故か雨蛙か赤塚不二雄の漫画の”べし”を思 わせる。”べし”のイメージは、その後発展すること無く現在に至っている。 つまり、”べし”は今だに”べし”以上でも以下でもない。
「4研のぽんちゃん」氏は、仕事でのつき合いは長く、ちょっと気になる人で あるが、この人が日本語をしゃべっているのを見たことがある人は少ないの ではないだろうか。かといって英語を喋っている訳でもないが。
「4研のライオン丸」氏。この人が額にソリを居れて黒っぽいスリーピースを ばしっと着て歩いている姿をよく見るが、一体何を考えて生きているのであろ う? ソリだけでは足りなくなると、床屋に行って丸刈りにしたりするが、 このときの彼は「ファイティング・デコちゃん」というか、もーれつア太郎 のデコッパチというか、なかなか可愛い。丸刈にソリを入れたらもっと凄いと 思うが、まだ彼に提案したことがない。
「4研のほこほこ饅頭」氏は、酒饅頭に爪で筋を書いたような目をした人である。 何か日に日にまるまる太ってくるような気がする。
「4研の天才プログラマー Chik」氏は、どら焼きが好き(?)な20世紀のド ラエモンなのだが、もうひとりTick氏というのもいた。「富士にはかすみ草が 良く似合う」K女史は、一時期「Chik は”チック”で、Tickは”ティック”。 2つは区別して発音しないといけないのよ。」とあちこちで発音の伝導師をやっ ていたが、この人と話していてもやはり、ドラエモンと話している気分になっ てくる。
「異人」は4研に多いみたいだが、事務部門にも居る。
「事務の天ちん」氏は、普通に話していても声がでかく、何を食ったらあんな デカイ声が出るのか不思議である。事務には、なぜかすぐに名前を忘れてしま い、いつも”美人!のS姉さん”に聞かないと思い出せない「普通のオジサンK 氏」も居る。
同じく事務のY氏は”お茶目なS女史”の上司のようだが、私は彼がS女史の息 子だと固く信じている。有島武郎の小説で「癇で背丈が伸び切らない少年」と いう言葉が出てくるが、なんとなくそういう感じがする。(かといって、Y氏が 特別背が低いという訳でもないが。) よくS女史と昼飯を食べているが、デパー トのレストランでお母さんとお子様ランチを食べている気難しい息子という感 じがしないでもない。