TOPICS Withコロナにおける海外留学トピックス
2020.12.08
  • 短期留学

【立命館大学×カリフォルニア大学】 2021年、次世代のオンライン留学プログラムがスタート!  気になるカリキュラム内容について聞きました!


(TOPICS)記事:【立命館大学×カリフォルニア大学】 2021年、次世代のオンライン留学プログラムがスタート!/差込写真1

現在、新型コロナウイルスが世界中で感染を拡大し、各国が入出国を規制していることなどから、従来の海外留学プログラムが実施できない状況が続いています。また、新型コロナウイルスの猛威が終息した“アフターコロナ時代”にあっても、安心安全に海外渡航ができる環境が確保できるまで、海外渡航の現地での留学プログラムの再開は困難なものとみられています。

立命館大学では、そのような状況の中で国際感覚豊かな学生をいかに育成し、社会に送り出していくかを検討してきました。20204月には、新たな海外留学のモデル形成や支援の在り方について検討する「海外留学派遣再活性化検討ワーキング・グループ」を設置。かねてより交流のあるカリフォルニア大学デービス校(以下、UCD)と共同で、2021年よりオンライン留学プログラム『立命館✕UC Davis Global Online Study』を開講することになりました。

いま、UCDとともに構築しているのは、単に既存留学の代替ではなく、新しい可能性を持った次世代の教育プラットフォームです。アフターコロナ時代の留学、そして海外コミュニケーションはどう変わっていくのか。国際課の豊田先生、UCDの藤田先生にその魅力を聞きました。 

 

UCDとの10年にわたるパートナーシップが生み出す
「次世代の留学プログラム」

 

——立命館大学とUCDとの留学プログラムの開発は、どのように始まったのでしょうか?

 

豊田 新型コロナウイルスが、大学教育、特に留学に影響するだろうという中で、立命館大学として、オンラインを駆使した国際交流の維持・活性や、国際留学モデルの構築をどうしていくのかが議論されてきました。

コロナによって留学を諦めるという学生も見られる中で、海外コミュニケーションの機会損失は最小限にしなければなりません。また、オンラインになることで、これまで留学にあまり目を向けなかった学生についても、留学への門戸を開く可能性もあると考えていました。そこで、これまでにも留学プログラムでパートナーシップを続けてきたUCDさんに協力をお願いしたのです。


(TOPICS)記事:【立命館大学×カリフォルニア大学】 2021年、次世代のオンライン留学プログラムがスタート!/差込写真3(RU豊田先生)

OIC国際教育センター長 豊田祐輔(政策科学部准教授・国際部副部長)



藤田 UCDでの私の仕事のひとつに、Director New Academic Initiatives(新規アカデミック構想)というものがあります。「次世代の教育の在り方はどういうものか」という課題について、その方向性を導き出すのがミッションだったんです。この3年ほどいろいろ試行錯誤をしてきましたが、そのような中で世界的なパンデミックが起こった。

立命館大学さんとはパートナーシップを構築して10年になりますが、私は、そのパートナーシップを1つ上のステップに押し上げたいと考えていました。つまり、「真のパートナー」になるということです。

これまで大学同士のパートナーシップは、ある意味では「留学というパッケージ」に限定した関係性という部分もありました。しかし、アフターコロナ以降、オンラインコミュニケーションが極めて大きな広がりを見せる中で、既存の留学を越える次世代の教育プラットフォームの必要性を強く感じてきました。

大きな変革は、今回のように混沌とし、不正確で何も見えない状況から生まれやすいと思います。今回のオンライン留学プログラム構築にあたっては、“海外での学び”の本質に迫るため、オンラインのメリットを最大化するべく、立命館大学の先生方と一緒に智恵を出し合っています。

(TOPICS)記事:【立命館大学×カリフォルニア大学】 2021年、次世代のオンライン留学プログラムがスタート!/差込写真2(UCD藤田先生)

藤田斉之(Nari Fujita)
Director of New Academic Initiatives & Academic Preparation and Pathway Programs
Center for International Education
Division of Continuing and Professional Education
University of California, Davis

 


費用メリットだけではない
これまでの留学を超えるコミュニケーションの可能性

 

——「現地に行かない留学」とは、どのようなものでしょうか。これまでの留学との違いについてお聞かせください。

 

藤田 はじめに、ビザ申請料や航空運賃、ホームステイといった部分のコストがかからないことは、留学プログラムへの参加ハードルを大きく下げますから、学生やご家族にとっても非常に大きなメリットになることは間違いありません。

一方で、授業のクオリティについて心配される方も多いのではないでしょうか。今回のプログラムにおける授業は、「リモート授業」を基本にしています。リモート授業とは、先生と生徒が同時にオンラインに接続し、リアルタイムでのコミュニケーションができる授業を指します。カリフォルニアとは時差もありますが、現地留学と同等の学びや体験を得るためには、リモートであることが必須であると考えています。

また、先生にとっては、全学生の顔が同じ距離感で見えますから、教室で授業をしているよりも、常に学生の動きが見やすいという利点があります。オンライン留学では教授と生徒の距離感がむしろ近くなり、より能動的、積極的な学びができる環境となるよう準備しています。

 

豊田 留学の重要な目的の1つとして、「多文化」や「多社会」を理解するということがあります。現地留学ですと、まさに海外の空気にどっぷりつかって文化の違いを肌で感じることが可能です。

一方、今回のオンライン留学プログラムの場合、例えば、午前中にリモート授業を通じて現地の考え方などを講義や議論などを通じて学んでいく。午後になると留学時間が終わって日本での日常に戻るんですね。それによって、「日本での日常」と「海外の生活、文化、社会」といったものを比較する機会が、より多くなるのではないかと思っているんです。共通点や相違点を探っていくことが、毎日反復できるというところにリモート留学の大きな強みがあるのではないかと期待しています。

 

藤田 大切なのは、テクノロジーを活用することによって、 “触れられる海外”をすぐそこまで引き寄せられるということです。ITを利用するだけで、世界中の若者が触れ合うことができる。国際教育において、この事実が非常に大切になってくると思います。

 

世界共通の課題「SDGs(持続可能な開発目標)」を

軸とした学びが国際感覚を促進する

 

——立命館とUCDの学生がともに学ぶテーマのひとつとして、「SDGs」が挙げられています。現地の文化に浸かるという部分では難しさもありますが、それを補うのが「SDGs」の学びなのでしょうか。

(TOPICS)記事:【立命館大学×カリフォルニア大学】 2021年、次世代のオンライン留学プログラムがスタート!/差込写真4

豊田 SDGsというと、国連が提唱していることもあって遠い世界の国際社会の問題と捉えられやすいですが、実は学生にとっても非常に身近なはずなのです。SDGsは先進国・途上国関係なく、人類全体の共通課題です。自分の生活を見直すとともに、今回のプログラムを通じてアメリカもしくはカリフォルニア州、UCDの状況を知って、議論をしてほしい。違いや共通点を探し、互いに理解を深めていくことで、非常に価値のあるコミュニケーションができると考えています。

 

藤田 SDGsはグローバル社会における大きなテーマにはなっていますけれども、それを自分でかみ砕いて、自分の立ち位置を明確にしていく中に、大きな学びがあるのだと思います。「これは他国で起こっている話ではない」という気付きの中で、どうアプローチするか、テーマに対して自分にできることは何かを明確にしていってほしいですね。

カリキュラムには、UC Davisの「模擬国連チーム」にも関わってもらう予定にしています

 

4週間の留学期間だけで終わらない
「続くコミュニケーション」を創り出す

 

藤田 今回のオンライン留学プログラムでは、SDGsだけでなく、授業以外でのコミュニケーションもこれまで以上に重視しています。500名ほどが所属するJASSJapanese American Student Society)という、日系サークルのようなものがあり、学生同士の交流がプログラムの中に入ってきます。留学プログラムは4週間ですが、プログラム終了後も学生たちの交流が続くような、積極的にコミュニケーションを期待しています。

決して我々が“お膳立て”するという意味ではなく、ともに学び、語り合ったことをきっかけとして、留学期間だけにとどまらない価値を生むこと。それは、次世代の教育プラットフォームを目指す上で、私たちが重視していることでもあります。

 

——やはり「自らの学びをどう作っていくか」という自発的な姿勢は、オンライン留学プログラムの価値を高める上で、とても大切になってきますね。

 

豊田 参加する皆さんには、自分の目標や目指す姿を描いたうえで、自らをマネジメントしていくという自覚をもって取り組んでほしいと思います。実際に現地に行くことはできなくても、そのような自発的なアクションが、むしろ留学の価値を高めていくはずです。

異なる文化を持つ海外の人たちとの議論を通じて理解を深める、あるいは、共通点や違いを認識していく。特にオンラインでのやり取りの中で問題を解決していく経験は、これからの社会でますます重要なスキルです。学生のうちにその機会を得られることは、学生の皆さんの将来にとってもプラスになるはずです。

 

アフターコロナ時代に生きる
「ソフトスキル=人間力」を手に入れる

 

藤田 これだけテクノロジーが進んで、世の中が便利になっている中で、いま見直されているのが「ソフトスキル」つまり「人間力」です。コミュニケーション能力や、クリティカルシンキング(批判的思考)も含まれますし、人間が生まれながら持っている「人に優しくすることができる」能力もソフトスキルに入ってきます。

AIがどれだけ進んで、人間の知能より優れた発想を持って、いろいろなことができるようになったとしても、人間の心を持つことはないですよね。ですから、利便性と人間らしさを今後、どう共存させていくのかという視点が必要です。

そのような視点を獲得するうえで、異文化との対話を通じて自分の立ち位置を常に考え続ける力が必要なのです。今回のカリキュラムはたった4週間ですけれども、自分のソフトスキルを高めるきっかけにして、自ら自分の道を作っていけるような学生さんが出てくることを期待しています。


以上

<募集要項>

立命館✕UC Davis Global Online Study 募集要項(学内専用) 

<案内チラシ>

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