人間の行動、感覚、感性を心理・生理学的に計測・評価し、その特性を設計に応用することにより、 安全で快適な人間ー機械(製品)系を作るための研究を行っている. ロボティクス学科では、一番人間に近い研究領域を担当している。 1)視覚特性に適した仮想現実空間の生成技術 両眼視差や運動視差により生成されるVR空間における、眼球制御特性(輻輳、調節応答)を 解明し、融合しやすく眼が疲れない視覚系に適したVR提示条件を提案する。 2)仮想物体の視・触覚的形状把握特性 手(触覚)と眼(視覚)から入る仮想物体の感覚情報の融合特性を時間的、空間的に解明し、 VR空間へのリアリティに富んだ物体提示条件を提案する。 また、触覚の能動的センシング機能と聴覚情報とを組み合わせ、視覚障害者用形状提示装置の 開発も試みる。 3)視覚情報検索・伝達と眼球運動特性 携帯電話等による思考が、自動車運転時の視覚情報検索に及ぼす影響を、眼球運動特性により解明し、 運転時のうっかりミス(事故)防止に寄与する。 また、視線入力による障害者のための緊急情報伝達システムを開発するため、顔面固定をせず 非接触で眼球運動を計測するシステムを構築している。 4)機器操作から受けるテクノストレスの客観的評価 ロボットの動きや緊急事態の機器操作、作業から受ける精神的ストレスを、脳波、心拍、血圧、 皮膚電位等により客観的に計測する生理指標の解明を行っている。 5)高齢者用自立支援機器の評価 高齢者が使用する身体支持器具等の使い易さ、使い心地を動作解析、重心位置変動、関節運動、 筋負荷等により評価。 また、体位変換時における積極的な動作意志の有無が、生理応答に与える影響を脳血流、心拍、 筋電により計測し、自立支援機器の操作システムに関する人間工学的提案を行っている。