過労死認定件数の推移
過労死等の労災認定件数の推移
厚生労働省「脳・心臓疾患の労災補償状況」「過労死等の労災補償状況」より作成。
脳・心臓疾患の労災認定は、1986年度以前は統計なし。
精神障害の労災認定は、1983年度から1996年度の14年間で、認定件数9件、うち自殺4件。

<解説>
矢印で示しているのは、脳・心臓疾患の労災認定基準が改定された年度です。改定によって認定件数が2から3倍になっています。
しかし、2007年をピークとして、認定件数は減少しています。これは認定基準が実態に合っていないことの証拠でしょう。

この背景もあったと思われますが、2021年に20年ぶりに認定基準が改定されました。
2022年度は、脳・心臓疾患の労災認定件数が若干、増加しましたが、2020年度と同水準です。
しかし過労自殺も含めた過労死の認定件数は、引き続き減少しています。
今後の動向はわかりませんが、いずれにせよ、過労死と推定されている1万人とは大きくかけ離れたものになるように思われます。

なお、厚生労働省は、脳・心臓疾患と精神障害の労災認定件数しか発表していませんが、過労死は、脳・心臓疾患と精神障害に限定されるものではありません。
たとえば、2023年6月4日付けの朝日新聞が、出血性胃潰瘍で死亡した男性が労災認定されたことを報じていますが、この事例も過労死と考えられます。
このような消化器系疾患にとどまらず、他のいわゆるストレス性疾患にも、過労死と考えられるものはありえると思われます。

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