
今度はスペイン語を言語学的な観点から見てみましょう。ローマ帝国の公用語はラテン語でした。このラテン語がローマ帝国滅亡後それぞれの地域で方言に分化します。その結果生まれたのが現代のフランス語、イタリア語、ポルトガル語等、いわゆるロマンス語と言われる諸言語です。これらの言語は元々同じなのでよく似ています。ですから、スペイン語が分かるとポルトガル語やイタリア語もかなり理解できることになります。例を挙げます。日本語にもなっている「パン」はスペイン語で pan(パン)、ポルトガル語で pao(パーオン)、イタリア語で pane(パーネ)です。日本語にはパンの他にも外来語としてスペイン語が多く入っています。「てんぷら」(tempora), 「ズボン」(jubon), 「カナリア」(canaria)などです。
スペイン語は国連の公用語でもある言語ですが、近年ますます重要になってきています。例えば、アメリカ合衆国ではヒスパニックと言われる中南米からの出稼ぎ労働者やその子孫が多く、スペイン語の話者は年々増えていて、実質的に英語に次ぐ第2の言語になっています。また、近年日本にはラテンアメリカから出稼ぎ労働者が多く来ていますが、彼らの多くが昔中南米に移住した日本人の子孫、日系人です。日本語のできる人は少なく、当然スペイン語を話します。実は日本国内でもスペイン語話者はかなりいるのです。