第9回 2007.6.16
中西 健夫 先生(潟fィスクガレージ 代表取締役社長)
テーマ「ライブ・エンターテインメントと業界動向」

講師:中西健夫(なかにし・たけお)氏

1956年生まれ、京都府出身。京都産業大学経済学部卒業
1972年、京都にてバンド活動開始
1979年、メジャーデビュー(全く売れず1年で解散)
1980年、潟fィスクガレージにてアルバイトを始める
1981年、潟fィスクガレージの社員となる
1990年、潟fィスクガレージ 取締役専務に就任
1993年、潟fィスクガレージ 代表取締役副会長に就任
1997年、潟fィスクガレージ 代表取締役社長に就任
趣味:サッカー。暖かいところへの旅行
モットー:人との出会いを一番大切にする事。夢を夢で終わらせないこと

 

「ライブ・エンターテインメントと業界動向」

(京都出身の中西先生は、自己紹介で京都を出られたいきさつについて語られたのち、本題に入りました)

 1.2006年度 業界動向

 日本はエンターテインメント後進国です。どういうことかというと、エンターテインメントに対しての理解を様々な理由からなかなか得ることができない。わかりやすい例を出すと、アメリカではセントラル・パークで数十万人が集まるコンサートをやりますが、日本でこういうことをやろうとすると絶対に許可が下りません。騒音やゴミなどいろいろな問題がありますが、許可をもらえる可能性が、まずありません。そのくらい、音楽やエンターテインメントというものに対しての価値観が非常に低い。コンサート会場を借りるということに対しても、「ロックバンドはダメ」と言われてきた時代がありました。

そのような流れのなかで、ここ最近になってやっと少しはエンターテインメントに対する規制が柔らかくなったという矢先に、年金問題、あるいは郵便貯金問題。厚生年金会館や郵便貯金ホールなど、国の予算を使ってつくったものは、国の勝手な事情でなくなっていくわけです。そうなれば、見たいコンサートは見れなくなってしまいます。しかもやれる場所は今どんどん減っている。要するに場所がなければエンターテインメントは成立しないので、いろいろと考えていかなければならない時期にきています。たとえば劇団四季やドラリオンなどは自分たちで会場を作ったりしています。自己防衛ではありませんが、このように自分たちがやりたいことができる場所をつくるようになってきたというのも事実です。しかしそれには当然資本力がなければできません。

そこでまず、いろいろな業界の動向を見てみましょう。

1)オーディオ
 昨年、音楽の売り上げが8年連続で減ってしまいました。とにかく音楽CDはどんどん売れなくなってきています。当然、携帯電話などの「配信」が出てきたのも事実で、去年配信がシングルCDの売り上げを初めて上回るという現象が起こりました。要するに、パッケージものが売れないんですね。CDだけではなくて、音楽DVDも前年に比べて1割くらい減っています。i-podで音楽を聴く人が増えるなど、ライフスタイルの変化によって音楽の聴き方もずいぶん変わってきていると実感します。
 音楽CDでも、ベスト盤はミリオンセラーになるものもありますが、オリジナルのCDでミリオンを超すものは出ていません。最近ではミスター・チルドレンの「HOME」というアルバムが、久しぶりにオリジナルでミリオンを超えたくらいです。このアルバムは本当に素晴らしいですよ。ミスチルのライブを見たことがない人は、一度見てみてください。といっても、チケットとれないんですけど(笑)。

 オーディオの売上は、メジャーとインディーズ、そして輸入版に分けられますが、一昔前にインディーズがものすごいブームになってから、最近はインディーズとメジャーの差がなくなってきています。というのも、インディーズは大きいメーカーからレコードを出しているわけではないのに、流通経路自体が大きくなってきているんです。そのせいもあって、ちょっと前はインディーズで出すということが自分たちのステータス=メッセージのようなものだったのに、ものが売れると同時にメジャーになってしまい、そのメッセージ性そのものが薄れてきてしまっています。
 世界各国のオーディオ売り上げによると、アメリカが1位なのはもちろんなのですが、日本はそれに次ぐ2位です。世界的にみても日本のマーケットは大きいのですが、それ以外にも日本がほかの国から重宝がられることがあります。それは、お金がちゃんとしているということ。お金がいっぱいもらえるし、著作権の管理もしっかりしているということです。世界中見ても、そこまできちんとしている国はありません。たとえば中国なんかに行っても正規のCDはほとんどなく、いわゆる海賊版ばかりです。たとえば日本で「○月○日on sale」と書いてあったら、絶対にその日に商品が店頭に並びますが、中国などでは流通がなくて、田舎に届くまでに1ヵ月くらいかかってしまいます。するとその1ヵ月間のうちに海賊版が出てしまうんですね。コンサートも値段が高いと普通の人は来られないし、契約も日本みたいにきっちりしていません。そういう意味では、日本はほんとうに大切なマーケットです。

ここで世界的な流れで変わってきたことがあります。それは世界の言語のうち3分の1がスペイン語だということです。英語の次がスペイン語。どこの国に行ってもスペイン語のテレビが流れていない国はないというくらい、スペイン語は英語の次にポピュラリティーがある言語なんです。そういうことを考えると、スペイン語圏のヒット曲は世界的にブームになる可能性もありますし、今後いろいろな意味で注目されるのではないかと思います。

 2)映画
 映画の売り上げを見てみますと、昨年は少し減りましたが、ほぼ一人一回見に行っている数字になっています。新しく起こったことは、洋画と邦画の売り上げが逆転したことです。邦画が51%で洋画が49%だったと思います。そんな映画界でもたいへんなことが起こっていて、つくられても上映されていない映画が100本以上あるんです。これもコンサートと一緒で、上映する場所がないんです。これが大きな問題です。

 3)スポーツ
 いろいろなエンターテインメントがどうなっているのかを考えたときに、一番分かりやすいのがスポーツなので、スポーツのデータを例に挙げてみました。
 野球は斜陽だと言いながら、動員数はそんなに落ちていません。東京では視聴率を含め、野球は落ちています。でも地方を見るとそんなことはないですよね。北海道の日本ハムや、福岡のソフトバンクもすごい動員でした。サッカーは横ばいですね。
 ほかのスポーツでの新しい動きとしては、フットサル・リーグ。見る側というよりはやる側の人気がすごくて、会場も取れないくらいです。
 ほかにも格闘技や相撲など、一昔前まではオンリー・ベースボールだったのが、サッカーの成功をきっかけにいろんなものがスポーツイベントとして成立してきているという気がします。

 4)著作権
 昨年度の著作権料が一番多かったのは、久石譲さんの『ハウルの動く城』。この曲を含めると、10位以内に映画音楽が3曲も入っています。ここで言いたかったのは、著作権料が多いのは意外にもCDのヒット曲ではないということです。アーティストパワーというよりも楽曲パワーと言ったほうがいいかもしれません。

 5)雑誌・書籍
 これは1996年のピークから見ると、CDと同じようにずっと落ち込んでいます。やはりネット上でぜんぶ済ませてしまう人が増えたからだと思います。余談ですが、本って紙じゃないですか。もしも中国とかインドの人がみんな漫画を読むようになったら、世界中の紙がなくなってしまうそうなんです。だから資源のことを考えると、ある程度インターネットを推進していかないといけないと思います。そういう意味では、出版業界もきびしい状況なのかな。

 6)コンサート
 昨年度のコンサートの入場者数は約2000万人。CDの売り上げが減っているということを考えてみても、これだけの人が一年間にコンサートに足を運んでいるということです。計算すると6人に1人がコンサートに行っていることになりますが、1人で何十回も行く人もいるので、実際に行った人数はもっと少ないだろうと思います。それでもやはり、伸びています。
 ジャンル別で圧倒的に売れたのは「韓流モノ」ですね。ここにいるみなさんは「韓流モノ」に興味があるかというとちょっと違うかもしれません。この「韓流モノ」に関心のある人は一定の年齢を越えた女性の方が多いのですが、電話での問い合わせのときなど、主語がない。「アレ、ある?」とかです。「アレ」じゃさすがに分かりません。それで聞き方が悪いとものすごく怒られる。パソコンの使い方を教えても「クリック」が分からない。「韓流モノ」のコンサートにはデジタル系に弱い方々もいらっしゃるので、すごく大変でした。ただ逆に考えれば、これまでコンサート会場に来られなかった方々がいらっしゃるようになったという事で、我々も自分達の目線だけで考えるのではなく、分かりやすい「買い方」を提供していかなければならないと思います。

 

 2.いま、ライブ・エンターテインメントとは 〜イベントを主催して〜

1)経済波及効果
 ロックイベントにおける経済波及効果を見てみましょう。下のデータは、電通さんにお願いして出してもらったものです。思っていた以上の結果で、電通さん側も驚いていました。 

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2006
―入場者約9万4000人、ミュージシャン等420人動員で直接的需要額は24億1000万円
―北海道の経済波及効果は31億6100万円、付加価値ベースで18億200万円
―国全体の経済波及効果は54億5000万円で直接的需要の2.2倍の規模に

 これは北海道でやっているイベントです。当然歩いては行けないので、電車やバスなど交通の需要が高まります。さらに、当然宿泊や飲食の需要が高まります。このようにいろいろな需要が高まって上のような数字が出ています。ひとつのイベントが、54億円ものお金を動かしているんですね。

 FUJI ROCK FESTIVAL 2006
―入場者約11万4000人、ミュージシャン約1000人動員で直接的需要額は33億400万円
―新潟県の経済波及効果は38億6500万円、付加価値ベースで21億6800万円
―国全体の経済波及効果は71億6200万円で直接的需要の2.2倍の規模に

 こっちは前者のライジング・サンにくらべるともっとすごくて、70億円を超えています。このフジ・ロック・フェスティバルは新潟で行われているし、われわれがやっているロッキン・オン・フェスティバルは茨城ですが、このようなイベントが行われることによって地方都市における経済効果をもたらすことができるわけです。音楽というものを「ビジネス」というよりも「村興し」のようなものと考えれば、その地域の経済を活性化させていくことにおいて、音楽イベントは絶対的ではないかと思います。

 2)日本最大のコンサート ―GLAY EXPO ’99 SURVIVAL LIVE IN MAKUHARI―
 日本で行われた最大規模のコンサートは、1999年に行われたGLAYのコンサートです。このコンサートは、幕張で20万人を集めました。この20万人という数字は未だかつて誰も経験したことのない数字で、GLAYのメンバーからも「いままでで最高の人数を集めたコンサートをやりたい」と言われたので、僕らも「どういうふうにやろうか」と試行錯誤の末、実現したものです。しかし、20万人入る場所がまずないんです。そして今度は交通のアクセス。20万人をバスで送り込むことは不可能です。そこで電車で、しかも駅から歩けるという限られた選択で場所を探しました。そうしたらちょうど幕張の駐車場ができたところで、そこはアクセスも電車で可能な場所で、計算したら20万人入りました。しかしさすがに規模が大きすぎて、どういうふうに会場をつくるのか、また警備はどうするのか、ということも理解を超えることばかりでした。そのときはみんな無我夢中というか、猪突猛進という感じでした。今後もこの規模のライブはもうやらないだろうし、できないだろうと思います。本当に日本でたったひとつの20万人のコンサートだと思います。このコンサートは、「ライブをつくるというひとりひとりのベクトルがピークに達したときに、人ができないことが成し遂げられる」ことを証明した一番顕著な例だと思います。このコンサートがあったからこそ、夏フェスブームのようなものがつくられたという意味では、夏フェスの先駆けになったイベントだったんじゃないかな、という気がしています。

 どんなコンサートか知らない人も多いと思うので、一瞬だけそのときの映像を見てみましょう。20万人という人の数が、気持ち悪いくらいに見えると思います。(下の写真参照)

 気持ち悪いでしょう。生まれて見たことがないくらいの人があの場所に集まっていました。しかもものすごく広いから、表から裏まで行くのに歩いて20分くらいかかるんです。このコンサートのちょっと前に、ルナシーのコンサートのセットが暴風雨で崩壊してしまったことがあったので、今度も壊れたらどうするんだということもあって、セット面でも安全面でものすごくお金がかかりました。そして業界的には赤字でした。あと物販の売れ行きがすごかった。でもこういうことをいっぱいやるとノウハウがつきますね。

 3)コンサートと環境問題
 イベントの話でいうと、ディスクガレージではロッキン・オン・ジャパンというイベントをやっていますが、今ものすごく問題になっているのが環境問題。これは避けて通れなくなっています。いろんな音楽業界と協力し合っていることですが、ゴミを出さないことや、ゴミを分別すること。イベントにおける取り組みをものすごくやっています。たとえばミスターチルドレンの音楽プロデューサーである小林武史さんが主催している「ap bank」なんかも同じような主旨でやっています。「あそこはライバル」とかはもう関係なく、環境問題なら環境問題で、横のつながりによって広がっていっています。これからもどんどんこういう動きは広がるんじゃないかなという気がしています。ゴミの分別も、あんまり分けすぎるとどこに捨てればいいのかわからなくなっちゃうので、細分化しすぎるのもよくないと思いますけどね(笑)。でも最終的には、みんなが細分化してゴミ出しができるようにならなければいけないと思います。

 なんでもないことから、環境って変わると思います。僕らは「一日一個運動」って呼んでいるんですけど、一日ひとつでいいから何か気になることをやってみる。たとえば電気を消すとか、ゴミを減らすとか、ひとりひとりの気持ちで取り組んでいくといいと思います。最近はロッキンオンだとゴミが全然落ちてないんです。それは「ゴミはゴミ箱に捨てる」という当たり前のことだけど、みんなできていないことを徹底的にやったからなんですよね。これを親父のウンチクっぽく語るのではなく、音楽イベントに行ったら普通に行われていたことをきっかけに「自分も気にしてみよう」という気持ちを持ち帰って、日常の生活に活かすみたいなことを、今すごくやりたいと思ってます。ある意味では、音楽業界も「ロックは不要だ」と言われていた時代からだんだん変遷して、社会貢献をしなければいけないような時期にきていると思う。単なる音楽というよりも、音楽から派生するいろいろなことをこれから考えていきたいと思っています。

 4)コンサートと高齢化社会
 あと誰が決めたか知らないけれど、コンサートって夜の6時半とか7時から始まって9時とか9時半には終わっちゃいますよね。でも東京とかに住む人にとっては、ライフスタイルとして平日7時に行くのは辛い。これは文化の違いでもあるんだけど、アメリカとかスペインじゃ夜の9時くらいからライブをやっています。日本の大きな問題のひとつというのは、年齢がどんどん高齢化していっていること。高齢化していくということは、当然働いている人が対象になるわけだから、普通の日にライブに行けない。有名なアーティストでも、日曜日のライブには1万人のお客さんが来ても月曜日は3000人しか来ない。これはそのアーティストの人気があるかないかではなくて、年齢層が高いがゆえに、現実的に行けなくなるということです。だから金土日のライブが異常に増えてしまって、その限られた三日間にライブをしようとするから、さらにコンサートの会場が足りないという事態が起こっています。できるかぎり多くの人にライブを見てほしいから、これらのことも含めてどのように動いていくか、というのはわれわれの大きなテーマです。最近では「秋のGW」をつくろうという動きがあったりしますが、休日が増えるということは、ある年齢層にとっての大きな需要を高める可能性があります。これからの問題は、とにかく高齢化社会への対応だと思います。すべてにおいてそうだと思うんですが、これを見過ごすと何もできなくなると思います。団塊の世代の方々が来年くらいからドロップアウトしていくというときに、たとえば音楽だと60歳以上の人がデビューしようという動きがあるので、それを見逃すと仕事になりません。なので、そこらへんのアイデアをいっぱい持っている人は、働くことにおいても楽しいと思います。

もうひとつ例を出すと、たとえば某ヒップホップ系のバンドはデビューから十数年がたち、お客さんの年齢は40代になってしまいました。そのバンドはヒップホップですから、当然ライブハウスでスタンディングというのがポリシーなわけですが、数人のファンの方から事務所に問い合わせが来ました。「わたしたち、もう椅子がほしいんです」と。要するに、座れないコンサートには行かないということです。こういう事実を考えると、将来的にはスタンディングスペースとシルバーシートに、客席を分けるときがくるかもしれません。コンサートってスタンディングという概念できていたはずなのに、その当たり前のことが明らかに変わってきています。これは消費者の気持ち次第なのですが、その環境を整えてあげることは、私たちにとって必要になってきているという感じです。「ライフスタイルに合わせたライブスタイル」を構築する時期が、今まさにきているところです。

 さいごに
 さっき言った環境問題もそうですが、すべてをグローバルな眼で見ていかないとだめですね。日本の文化意識が低いと話しましたが、海外に行くと日本に必要な部分が本当に見えてきます。そのためにも絶対にやってほしいのは、英語。英語を勉強しておけば良かったなあと思うことがいっぱいあります。グローバル・スタンダードのなかで「英語」というキーワードはこれからさらに大切になってくると思います。外資系も異常に増えていますが、とにかく英語率の高さは半端じゃありません。どんな仕事をするにしても、英語だけはみなさんやっておいてください。そこだけが、僕が未だに悩んでいることですね。

あと、最近は「緑」をテーマに公園ライブをやったりしていますが、日本では公園でライブをやることにかんして、制約がものすごく多い。フランスでは6月に「ミュージック・デー」というのがあり、街のいたるところで音楽をやっています。クラシックもあれば、ロックもあれば、フォークもある。ジャンルは関係なく、「音楽」というキーワードで街中が盛り上がっていて、誰も音楽やっていることに対して文句を言わない。日本は音楽だけじゃなくて、何かをやるとすぐ文句を言う人たちがいっぱいいて、本当に心の貧しい国だなといつも思うんです。これからは、エンターテインメントだけじゃなくていろんなことを楽しめる心の余裕を持てるように、みなさんに是非頑張ってもらいたいです。「音楽」って字のごとく「音を楽しむ」ことなので、それが現実になることが、僕らがこれからやっていかなければならないことだと思っています。


 以下、質疑応答の要約。

Q.ディスクガレージでアルバイトを始めたきっかけは?
A.東京に出たが、バンドが全然売れずにお金がなかった。何でもいいからとにかくバイトしたいと当時のレコード会社のディレクターに頼んだら、ディスクガレージの社長と友達だった。当時、この会社はレコード屋さんだったので、僕はレコード屋の店員としてアルバイトをしていて、のちにイベント部門をやるというのでそっちにうつった。そのときはディスクガレージで仕事しようなんて、まったく思ってなかった(笑)。

Q.社会人の方への対応として、コンサートの開演時間を遅くしたほうがいいという問題を指摘されていたが、若年齢層に対しての開演時間等について考えがあれば。
A.もちろん高齢者だけではなくて、若い人たちにとっては極端な話、日曜日の2時からなど昼の公演も考えている。実際に、問い合わせでものすごく多いのが終演時間について。地方では帰りの電車もなくなるので、終電から逆算した開演時間なども考慮している。

Q.コンサートをするのに、公園などの国有地は簡単に借りられる?
A.非常にたいへんなこと。国の持ち物なので、その土地に反映される経済効果を持ち出して、ものすごく分厚い書類で交渉することから始める。最近はその経済効果がどのくらいのものなのか明確になってきたので、門戸は開かれてきたし、逆に「うちでやってくれ」という市が出てきたりもしている。イベントで出す出店は地元の方にお願いするとか、町中がそのイベントによって活性化して潤えば、市にしてみれば悪くはない。
 そのなかでも、騒音問題だけはどうしようもない。立川市にある昭和記念公園は最高のロケーションであるにもかかわらず、騒音が問題で許可が下りない。そういう意味ではオールナイトも難しい。余談だが、オールナイトイベントでおにぎりとカップラーメンとパンを同じ量用意しておいたが、パンは食べないという集計結果が出た。深夜のライブでパンは食べないのは、やはり日本人だからか(笑)。

Q.最近行ったライブでは会場の電気が風力発電というところがあったが、ゴミの分別以外にも工夫されていることがあれば。
A.まさにこれからコンサートをやるにあたって、風力発電、ソーラーシステムを取り入れようとしている動きがある。いくらエコを訴えても、コンサートをする時点で電力を消費しているのだから、そこを紐解いていくと風力発電にたどり着く。風車だけで電力が確保できるようになれば、自然の風で音を出すということが起こるかもしれない。