JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論1 立命館大学産業社会学部

10月8日

第二回目は、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の太田輝仁氏より、「デジタル著作物の権利活動について〜健全な情報社会の実現に向けて〜」の講義が行われた。

社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は、海賊版のコピーが多く出回った1985年に、デジタル著作権の保護を目的に設立された。活動としては、著作権ビジネスの支援を始め、情報モラル教育(出張授業)などがある。

著作権保護の観点から見たコンテンツの定義は、「経済的に取引となる情報材」である。その例としては、CDを媒体としている「音楽」がわかりやすい。デジタル情報(音楽)は、簡単にコピーしたり、中身を書き替えることができる。また、使っても劣化することが少ない。そして、ネットワークを通じて、誰もが、瞬時に、世界中に、送信できる。デジタル情報技術の発展によって、誰もが著作物を取り扱い、情報発信できる社会になった。見方を変えると、権利侵害が容易に行われ得る社会になり、誰もが被害者・加害者になりうる社会になった。したがって、被害が広範囲に拡大しうる。

デジタル著作権の権利は、1986年頃から専門業者の海賊版販売によって侵害されはじめ、その後一般人によってパソコン通信やインターネットを通じ侵害されている。今はまた専門業者による「ファイル交換ソフト」で侵害されている。ファイル交換ソフトとは、「あるソフトを使うとあるソフトを使っている人とファイルの交換ができる」もので、「WinMX」や「Winny」が代表例だ。ファイル交換ソフトでは、多様なコンテンツや情報が大量に送受信することができる。そして今そのコンテンツや情報は、ビジネスソフト、ゲームソフト、音楽ファイル、映像ファイルなどであり、これらを違法にコピーしたものが、著作権侵害被害になっている。作品を作り出している人(クリエイター)の立場になって考えてみると、多大な時間・制作費をかけて作り出した作品(曲)が、無料でやり取りされるのでは、たまったものではない。また、産業の発展の面においても、無料の作品が出回ると業界の衰退に繋がり、最後にはこれから世の中に出る学生の就職先まで奪う事になるのだ。

情報モラルについて、”他の人の作品(曲)は許可をとらないとコピーできない”ということを覚えておいてもらいたい。情報は”ただ”ではない、対価を払ってもらいたい。自分にとって素晴らしいと思ったものには対価を払ってもらいたい。また、勘違いされがちだが、クリエイターだけが文化を生み出しているのではない。世の中に出ている全てのコンテンツ(曲)が良いわけではなく、私たちユーザーがコンテンツを選び、そして選ばれたコンテンツが流行り、その流行が文化になるからだ。つまり、クリエイターとユーザーが文化の担い手なのである。それゆえ、私たち一人一人が文化の担い手であることをしっかりと認識してもらい、「良いコンテンツには対価を払うこと」、「海賊版には手を出さないこと」を守って欲しい。


「ACCSの刑事事件支援ー著作権を持っている人が告訴しない限り、警察は介入できないー」

「販売店・販売グループなどによる海賊版頒布ー店舗・路上(露天)・ダイレクトメールによる集客」

「インターネットオークション対策ーACCSとYahoo!JAPANが提携(著作権侵害出品の削除強化・両者による著作権保護の呼び掛け)」

「ファイル交換がはらむ問題ー流通しているファイルの約90%が、音楽ファイルやソフトウェア、映像ファイルなど他人が持つコンテンツー」

「著作権保護の3つのポイントー@法律・ルールA技術的保護B教育ー」


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