JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論1 立命館大学産業社会学部

12月10日

 第十一回目は、株式会社あそぶとまなぶ代表取締役のくらたまなぶ氏より、「カラダ発想術ー『不のつく日本語』をもとめてー」ついての講義が行われた。(以下はその要約)

企業の経営は、「きのうの数字(実績)」から「マーケティング」へ、「マーケティング」から「マーチャンダイジング」へ、「マーチャンダイジンング」から「あしたの数字(予算・計画・目標)」へと進めていくのが望ましい。その他のルートで、「きのうの数字」から「あしたの数字」へ直接進めたり、「きのうの数字」から飛ばして「マーチャンダイジング」へ進めたり、「あしたの数字」から「マーケティング」や「マーチャンダイジング」へ戻るというように進めると失敗する。「マーケティング」とは「きもちをことばにすること」であり、「マーチャンダイジング」とは「ことばをカタチにすること」である。

「市場調査」と「マーケティング」は全く異なるものである。「市場調査」とは、「きのうまでの行動を数字で知ること」であり、既存のデータ(数字)を調べることだ。公式にすると「人数X回数or個数X単価」と表せる。例えば、公式の「人数」を増やすと「新規顧客開拓」となり、「回数」を増やすと「リピート拡大」となる。公式のどこをどのくらいの数字にするかをハッキリさせることが利益拡大に繋がる。一方「マーケティング」とは、「明日からの人の気持ちを言葉で知ること」である。ヒトの気持ちを聞くことは、不満・不安・不快・不便・不都合など「不のつく日本語」のすべてを聞くことだ。そしてその聞き出した「不のつく日本語」をなくすことが重要になる。

ヒトの気持ちを知るためには「ヒアリング」を行う。「ヒアリング」は、どれだけ本当の気持ちを集められるか、それをどれだけ普通の言葉でまとめられるかが重要だ。まず、ヒアリングを行う相手については、4段階に分けられる。第一段階は「好きな人・得意な人」だ。この段階では励まされ、アドバイスが得られるだろう。第二段階は「嫌いな人・苦手な人」だ。この段階では自分や第一段階の人達とは全く異なる考えや感性を持った人の意見が得られるので、企画の欠点や新しい意見などの発見がある。第三段階は「普通の人」、第四段階は「知らない人」だ。この段階では、一般的大多数の意見が聞ける。次にヒアリングを行う状況については、「用紙なし・テープなし・謝礼なし・90度の座り位置・友達感覚・2人きり」が理想である。わかりやすくいうと、デートでしないことはしないということだ。また、ヒアリングでは本人さえ、自分のホンネ(特に「不のつく言葉」)は分からない場合が多いので、そのホンネを聞き出すことが重要になってくる。
 ヒトの気持ちを知るためには「ブレイン・ストーミング」も有効な手段だ。「ブレイン・ストーミング」とは集団発想手法のことで、4〜7人程の人数で「批判厳禁」・「自由奔放」・「質より量」・「他人便乗」のルールを守って話し合う。「ヒアリング」と「ブレイン・ストーミング」は平行して行う。

起業(事業)とは、「市場の声を聞いて事業を起こす」、「起こした事業によって市場が動く」、「動いた市場の声を聞いて、さらに事業を変える」という構造になっている。この「市場」と「事業」をつなぐ道具が「マーケティング」と「マーチャンダイジング」だ。



「行動ソフトというコンテンツを扱う」
 ・コンテンツには「感動ソフト」と「行動ソフト」がある
 ・感動ソフト…メディアに接して心を動かす
 ・行動ソフト…メディアに接して体を動か

「ヒトに聞かず進めてしまう3ケース」
  ・公共事業
  ・独占事業
  ・経営者のアタマが悪い企業(事業)

「起業の3条件
  ・世のため、人のためになるか
  ・稼げるか、儲かるか
  ・楽しいか、面白いか
  
  
   


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