JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論1 立命館大学産業社会学部

12月17日

 第十二回目は、株式会社第一興商常務取締役の山本裕治氏より、「カラオケの功罪」ついての講義が行われた。(以下はその要約)

カラオケは1991年に神戸で誕生し、「おじさんのお酒の席での娯楽文化」を創造した。その後1985年のカラオケボックスの誕生で、カラオケは「おじさんの酒席での文化」から「老若男女すべての世代が気楽に楽しめる文化」に進化した。そして日本だけでなく東南アジアをはじめ全世界へ歌う楽しみ「カラオケ」という文化が波及し世界の人々が歌いだした。カラオケは世界の共通語となり、国によって楽しみ方が異なるが日本発の文化として世界を制覇した。

カラオケの参加人口は1994年の5,890万人がピークで、ここ数年は4,780万人まで減少している。カラオケボックスルームの数も1996年の160,680個がピークで、134,900個まで減少している。また、カラオケボックス一組あたりの参加人数は1996年には3.7人と大人数で楽しむ傾向にあったが、最近は3.2人と減少している。これは携帯電話の普及によって大人数で集まらなくても、コミュニケーションが取れるようになったからではないかと考えられる。

カラオケとメディアの進化について、1971年に「8トラックテープカラオケ」が開発されるまでは、ピアノ伴奏によるカラオケ形態だった。その後、カラオケに最適な「レーザーディスクカラオケ」が開発されカラオケボックスが誕生し、カラオケは広まった。そして1991年に「ビデオCDカラオケ」が開発され、1992年には現在大半のカラオケボックスで使用されている「通信カラオケ」が開発された。「通信カラオケ」は、電話回線でデータを送るため、以前は1ヶ月ほどかかっていた新曲の配信が2日に短縮された。また、映像も送れるようになった。カラオケはマルチメディアの進化の中で新しいメディアをプロモーションする映像と文字と音声の親しみやすいコンテンツなのである。

カラオケの著作権については、「複製権・公衆送信権・演奏権」の3つがある。「複製権」とは曲のデータをセンターから端末へ配信する基本使用料のことで、使用総曲に対し1曲100円かかる。「公衆送信権」とは利用単位使用料のことで、利用端末1台につき月額情報利用料の10/100の額又は950円のいずれか多い額とされており、年間30億円が支払われている。「演奏権」とはカラオケを設置している店が支払う料金で、ボックスの店員・店の面積などで部屋単位で徴収される。3つ目の演奏権は店が潰れてしまうことが多く、徴収することが難しい。そこで契約書にJASRACへ演奏権を支払うことを盛り込んで、徴収をしやすくしている。著作権の徴収額は年間1,108億円になる。そのうち通信カラオケ複製・送信権は59億円、カラオケ演奏権は150億円になる。

これからの第一興商では、自分の歌唱力に級が認定される「歌唱検定」やカラオケがそのままオーディションのエントリー端末になる「歌スタ」や自分の着ボイスができる「ケータイMYボイス、カラオケ」などに挑戦していく。



「オーディオ総生産額の推移」
 ・1998年の6,075億円がピーク
 ・2004年は3,774億円まで減少
 ・
CDが売れなくなったことが今後の課題

「ミリオンセラー作品の推移」
  ・シングルの売り上げが落ちている
  ・2004年のミリオンセラーは「オレンジレンジの『花』」だけ
  ・シングルはレンタルで、アルバムを待つ傾向
  

カラオケをする理由」
  ・歌うのがすき
  ・ストレス発散のため
  ・親睦を深めるため
  
   

カラオケをしない理由」
  ・機会がない
  ・無理強いがいや
  ・下手な歌を聴くのがいや
  


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