現在のお笑いブームを牽引する吉本興業。その吉本興業と東京電力が共同して立ち上げた企画会社が株式会社キャスティである。桂三枝、桂文珍、ダウンタウン、明石屋さんまのマネージャーなどを歴任し、現在はキャスティ代表取締役社長の中井秀範氏の講義は、吉本興業の成功の秘訣をつぶさに語るものであった。 中井氏は吉本興業の設立当初からの話を詳しく語ってくれた。その中で、吉本に所属していた桂春団治に、NHKからラジオ出演のオファーが初めてあった時のエピソードを紹介した。NHKのオファーを受けた吉本興業は、ラジオで落語を放送すると劇場に人が来なくなると考えい、桂春団治の出演に強く反対した。だが、春団治は吉本が反対するのを無視して勝手に出演。すると、ラジオで聞いた落語を生で見たいというお客さんが劇場に多く来るようになった。それから吉本はマスメディアに多くの芸人を出演させるようになり、吉本とマスメディアの関係が始まった。 吉本興業はタレントマネジメントに留まらず、企画・制作やコンテンツ配信などの様々な事業を手がけていることで知られている。そのことについて中井氏は「テレビ局は共存共栄で、免許事業ということで守られている」とマスメディアのゆがんだ支配構造を指摘。その上で、CS放送のスカイパーフェクトTVで「ヨシモトファンダンゴTV」というお笑い専門チャンネルを運営したり、ウェブ上のコンテンツサイト「casTV」を運営するなどの事例を説明した。そして一連の吉本の経営戦略を「垂直統合型」と紹介。「タレントマネジメントから制作・配信まですべてを吉本で行うことで、余計なお金がかからないから、その分お金をかけていいものを作ることができる。また著作権を丸ごとかかえることができ、容易に再利用できる」と垂直統合型ビジネスモデルの優位性を解説した。 |
![]() 「吉本に入って天才お笑い芸人に会えた。それでけでも良かった」 「お笑いを単なる芸能の1ジャンルではなく、ビジネスに仕立て上げてきたのは、吉本興業の功績として自負できる」 「アーティストにむくいるために、アーティストをかかえている会社がレコード会社を持った方がいい」 「人に振るのはたやすいが、それをやらずに自前でコツコツやると、結果として実を結ぶ」 |
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