JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論2 コンテンツビジネスの現在と未来


12月11日

湯川れいこ 「音楽の力〜音楽ってなんだ」

「未来を考えた時、みなさんぐらいの年齢の人と本気で話し合うことが大切だと感じます。みなさんに伝えたいメッセージがあるからここに来ました」講義の中で何度もそう繰り返した湯川氏のメッセージは、その場にいた人の心を激しく震わすものであった。

湯川氏が手がけた仕事の1つに、手塚治虫の代表作「火の鳥」のNHKアニメ版テーマソングの作詞がある。この詞に込めたメッセージを湯川氏は次のように語ってくれた。「何億年という目が眩むほどのプロセスを経て、みんながここにいる。自分の命を投げ打ってでも、子どもを助けてくださいと願った母親もいただろう。それを社会が次の世代に伝えられずに、戦争などで命をなくしていくのは本当に情けない。未来へメッセージを伝えていけるのがArt。私はそんなメッセージを込めて「火の鳥」の詞を創りました」

さらに、湯川氏は音楽の持つ力を次のような言葉で表現した。「麻薬を使わなくても、リズムと音で人間は飛ぶことができる」。実際、音楽を聞いていて一種の「トランス」状態に入った経験のある人も多いだろう。また「子どもの頃に聞いた音楽は体の奥底にいつまでも残っている」と述べ、音楽がいつまでも人間に影響を与え続けることを明らかにした。

湯川氏のメッセージは子育てへと続く。現在では、赤ちゃんは生まれてすぐ母親と引き離される。また、ようやく子どもが帰ってきても、自立を促すためとして距離を置き、テレビの前に座らせている。そうした子育てに対して湯川氏は「まず生まれた赤ちゃんを母親に寄り添わせ、母親の心臓の音を聞かせる。子どもが『あ』と言ったら『あ』と返してやる。そうしてコミュニケーションのできる人間が育つ。また、自分で自分の身を守れない子どもにしつけは意味がない。子どもは全面的な保護の中で、好奇心・知性を発達させていく。人間らしい人間を育てるためには、まず愛することです」と語った。

湯川れいこ氏 写真

「3分間のロックンロールを作るよりも、人間1人を育てる方が芸術的だ」
(ジョン・レノンの言葉)

「音楽によって元気付けられ、音楽によってメッセージがしみ込んでくる」

「枕元にナイフ・ピストルを置くのか、それとも対話をするのか」


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