JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論2 コンテンツビジネスの現在と未来


12月18日

くらたまなぶ 「創刊男」の仕事術(しゃべり編)−「不のつく日本語」を求めて

リクルート在籍20年で、「とらばーゆ」「フロムエー」「エイビーロード」など14の新しいメディアを立ち上げた。そんな経歴を持つくらた氏は冒頭で「筆記用具は手から離して、カラダで聞いてください」「どうやって実行しようかを考えながら聞いてください」などと受講する際のポイントをいくつか説明。その説明自体が学生の常識を打ち破り、これから始まる講義への期待をふくらませるものであった。

まず、くらた氏は企画の第一段階であるマーケティングについて説明。市場調査を「昨日までの消費者の行動を数字で知ること」とした上で、マーケティングを「明日からの消費者の気持ちを言葉で知ること」であると語り、ヒトの気持ちを聞くことの重要性を強調した。さらに、「夢よりもグチ、ニーズ・ウォンツよりクレーム、不満・不安・不快など『不』のつく日本語すべてを聞くことが重要。そのどれか1つを裏返すことができれば、満足へと変わる」と話した。

次に、くらた氏は人の気持ちを集め、言葉にまとめる具体的な方法を教えてくれた。まず聞く相手は好きな人・親しい人。次に嫌いな人・苦手な人。そして単なる知り合いやまったく知らない人にも聞く必要があるらしい。その理由として、「親しい人だけだと、どうしてもいい事がばかり言ってもらえ、意見が偏ってしまう。嫌いな人や知らない人からは全く別の意見が聞ける」と説明した。そしてヒアリングの方法はグループインタビューではなく、「用紙なし・テープなし・謝礼なし・相手から90度の位置で座る・友達感覚・2人きり」が理想だと述べた。さらに、はきはきしゃべる人の話ではなく、悩みながら、自信なさそうにゆっくりしゃべる人からこそ、いい情報を得られることをくらた氏の体験を交えながら説明した。

気持ちを集められたら、次の段階を「拾ってきた不平・不満を夢に変えること」だと話し、その方法として米国広告会社の創業者であるアレックス・F・オズボーン氏が発明したブレイン・ストーミングのやり方を説明した。ブレイン・ストーミングのルールとして、「批判厳禁」「自由奔放」「質より量」「他人便乗」の4つがあることを説明し、それらを「全員が自由に発言しよう」という1つの言葉でまとめてくれた。

最後に全体のまとめとして、くらた氏は起業の3条件として「世のため、人のためになるか」「稼げるか、儲かるか」「楽しいか、面白いか」の3つを紹介した。またこれら3条件を「ロマン・ソロバン・ジョウダン」「夢・金・愛」という覚えやすい言葉に置き換え、学生が実践する際の手助けとなるキーワードとした。

くらたまなぶ氏 写真

「聞かないと生み出せない」

「すべて体験がベースです。長所は実践的。短所は非学問的」

「市場調査は算数。マーケティングは国語」

「人の言葉をグラフにしてはいけない」


MBAコースでは教えない
「創刊男」の仕事術

くらたまなぶ 著
日本経済新聞社
1,500円


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