JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論1 立命館大学産業社会学部

5月28日

富澤 一誠 「歌力(うたぢから) 〜歌は現実を超えているか?〜」

日本で発売されるCDの数は毎月80〜130枚程度。そのうち、いったいいくつの曲を耳にしているだろうか?発売されたCDの約半分はほとんど誰の耳にも触れられずに消えていくのが現状だ。だがそんな現実を憂い、すべてのアーティストに平等にチャンスを与えたいと願って活動を続けているのが、富沢一誠氏。「いい歌なのに、あまり知られていない歌がたくさんある。そういった歌を紹介するのが自分の仕事」だと言う富澤氏の実績と想いが詳細に語られた講義だった。

富澤氏はすべての曲をユーザーが聴き、その中で本当に自分の好きな曲を探し出して欲しい。またすべての曲に平等にチャンスを与えたいとの想いから、すべての曲を1コーラスずつ流すラジオ番組を提案したことがある。売れている曲、人気のある曲を流したいとするラジオ局の意向などもあってなかなか実現しなかったが、やってみるとかなりの反響があったらしい。
  さらに富澤氏はテレビの世界にも足を広げた。テレビは視聴率を気にするあまり、売れているアーティストしか出演させない。しかしレコード会社にとっては、むしろこれから売りに出すアーティストを出演させてくれた方がありがたい。そこで富澤氏は本当にいい人・曲が出演し、それに対してきっちり批評をする番組を企画・作成したところ、これも案外視聴率が良い結果となったとのことである。

そして富澤氏は今後やりたい番組として、2つの構想を披露した。1つは「ミュージックレスキュー」というタイトルで、良い作品でありながら売れていない曲をピックアップし、放送する番組。もう1つは「再生」というタイトルで、中高年者をターゲットとして昔のいい歌をアレンジするなどして放送する番組。「すべてのアーティストに平等にチャンスを与えたい。そして本当に力のある歌をユーザーが選び出してほしい」と2つの構想の根底にある富澤氏の想いを語り、講義を締めくくった。

富沢一誠写真

「歌は言葉では語れない」

「フォークは想い。ポップスは音楽的。音楽的になった分、想いが減ってきた」

「いい歌にチャンスを与えたい」

「理念が先に立った番組も必要だ」

「いい歌は与えられるのではなく、自分の耳で確かめて自分の心で発見するもの」

「世間に転がっているいい物を見つける目を一人一人が身につければ、いい物が埋もれずに済む」


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