JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論1 立命館大学産業社会学部

6月18日

丸山 茂雄 「レコード(音楽産業)の構造変化

現在、レコード店に行っても、ビニール製の「レコード」を目にすることはほとんどない。レコード店で販売されている音楽のほとんどは、CDに入れられて販売されている。さらに、インターネットで音楽データをダウンロードするという形態も普及してきた。このように、音楽産業の構造は刻々と変化してきている。こうした音楽産業の構造変化と、それに伴うユーザーの変化について、変化を続ける音楽業界の最前線を走り続けてきた丸山氏が語ってくれた。

講義の冒頭、丸山氏は受講生に対し、どういった方法で音楽を聴いているかを尋ねたところ、テープで音楽を聞いている受講生はほとんどおらず、ipodなどハードディスクタイプの携帯音楽プレイヤーや、パソコンで音楽を聴いている人が多かった。その後、ラジオから始まる音楽の聴き方の変遷を丸山氏は説明したが、その中でもハードディスクタイプの音楽プレイヤーなどは最新の方法であり、受講生が時代の最先端をいち早く取り入れていることがよくわかった。

そうした現状に対し、丸山氏は「昔は同じレコードを擦り切れるぐらい何度も聴いていた。だが今は、ipodに何千曲もの音楽を入れ、シャッフル再生で聴いている。なんとなく、聴いているんだけど聴いていない。アーティストは1枚のアルバムCDを創るために、コンセプトをしっかりと考え、一所懸命創っているが、ユーザーはコンセプトなんて気にもしていない」と指摘した。そして「音楽を作品として聴くのではなく、単なる情報として扱っている」と解説し、音楽産業の変化がユーザーの音楽に対する捉え方をも変化させていることを説明した。

丸山氏は自身を振り返って、「世の中の変化を仕事に結びつけ、成功してきた」と語り、「人間は新しいものを否定し、古いところに留まろうとする。だが新しいものを取り入れ、時代の流れに乗っていくものが成功する」と新しいものへのチャレンジ精神が大切であることを述べた。その上で、「まずは年配者に従い、一所懸命働くこと。すると、歴史を理解し、その先が見えるようになってくる」と語った。そして最後に、「責任を果たして、誰かにありがとうと言ってもらう。それが一番の幸せ」と語った。

丸山茂雄写真

「ミュージシャンの思い入れを全く無視している時代」

「昔は音楽を作品として聞いていた。今は情報として扱っている」

「音楽の原点はライブ」

「音楽業界にいたことがゲーム業界での成功につながった」


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