JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論1 立命館大学産業社会学部

6月25日

半田 正夫 「音楽業界における著作権の将来性について」

今回の講師は青山学院大学名誉教授(同大学前学長)であり、著作権の第一人者である半田正夫氏。講義の本題に先立って、半田氏はまずわが国の著作権制度の仕組み、保護される期間や複製権についてなど、著作権の概要を簡単に解説した。

半田氏がまず取り上げたのが、貸しレコードと貸与権の問題についてだった。貸しレコード店の始まりから、レコード会社の運動により著作権が改正されていった経過を詳しく語ってくれた。最終的に、発売後最初の1年は許諾権としての貸与権が、後の49年間は報酬請求権としての貸与権が制定された。さらに貸しレコード店が行政に働きかけ、現在は発売後1〜3週間のレンタル禁止を慣習とすることで折り合いがついている。

次に半田氏が取り上げたのが私的録音補償金の問題だ。私的録音録音補償金制度とは、権利者団体は録音機器メーカーに補償金を請求し、メーカーは補償金を販売価格に上乗せする。最終的に、私的録音をするであろうユーザーが補償金を負担するという仕組みだ。この制度について半田氏は「録音機器を購入する人が必ずしも著作権のある音楽を録音するとは限らない。そんな人も補償金を負担しているのはおかしい」と制度の問題点を指摘した。こうした意見に対し、日本の制度では補償金の一部を共通目的事業に支出し、また著作権のある音楽を録音していないことを証明できれば、補償金を返還を請求できるようになっている。しかしこれについても半田氏は「どうやって著作権のある音楽を録音していないことを証明するのか。また仮に証明できたとしても、返還される金額はほんのわずか。実際に今まで返還請求をした人は1人もいない」との指摘を行った。

最後に著作権の将来について、「現在の著作権法はアナログ時代の技術をベースに作られたものだ。デジタル時代に合わせ、著作権法を作りなおすべきだ」と著作権法を抜本的に作り直す必要性を主張した。また「音楽をインターネットで配信するようになれば、権利者が配信状況をチェックできる。そうなれば、実際の配信に合わせた個別の権利料請求ができるようになる」と著作権の未来を予測した。

半田正夫写真

「著作権法はここ15年で13回ぐらい改正されている。著作権法は社会の動きの激しさをもろに受ける分野だ」

「デジタル時代となった現在、著作権法を新しく作り直す時代に来ている」


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