■さんしゃびと »

2023/5/1

No.96「経験からの学びを地域に活かす力」
●2005年卒業:松尾 弥生さん

立命館大学ボランティアセンター設立の土台作りに

 産業社会学部人間福祉学科2005年卒松尾弥生(旧姓荒牧)と申します。

 株式会社南阿蘇ケアサービスという会社で、高齢者、障がい者、障がい児を支える福祉サービス事業所を運営しております。

 高校3年生時、立命館大学のパンフレットを穴が開くまで眺め大学生姿の自分自身を想像していた日々を思い出します。2001年春、立命館大学産業社会学部人間福祉学科にて、4年間の濃い学びがスタートしました。初めての一人暮らし、アルバイト、関西弁、サークル、そして大学講義。多くの人と出会い、感動や失敗もたくさん経験しながら成長した4年間でした。特に印象深い思い出は、ボランティアコーディネーター養成講座を受講後、立命館大学ボランティアセンターを立ち上げる活動をした経験です。津止先生や院生と一緒に学部生が協力しあって、イベントの開催やアンケート調査、文章をまとめて冊子にし、センター設立に向け一丸となって楽しみながら取り組んだ日々が懐かしく思い出されます。実際のセンター運用は私たちが卒業後ではありましたがその土台作りに携われたことは何にも代え難い経験です

熊本地震後に支えとなった「学び」や「つながり」

 故郷に戻り地域で施設運営をしている中で2016年4月熊本地震が発生しました。阿蘇大橋の崩壊によって職員の三分の一が出勤できない状況下で高齢者の生活を守らなければならない、その時に全国からの福祉のボランティアとボランティアコーディネーターが必要だと感じました。津止先生に連絡しそこからのご縁で産業社会学部の先輩がコーディネーターとして支援に来て下さいました。自施設だけでなく南阿蘇村の他高齢者施設にもボランティアを派遣する仕組みをつくり、全国から1600名のボランティアの方に南阿蘇の高齢者の命を守ってもらいました。私自身も、全国の友人たちのメッセージや訪問し支援してくれた友に救われ、大学での「学び」や「人と人のつながり」に支えられ、この災害を乗り越えることができたように思います。感謝の気持ちしかありません。

共生型福祉施設への取り組みへ

 これらの経験から、私は、多くの事を学び、今に活かされています。

 地震後より、高齢者ケアにとどまることなく、南阿蘇の地域福祉力の向上をめざすために、障がい者、障がい児福祉事業を開始しました。外国籍スタッフを雇用し、高齢化率43%の過疎地域において地域福祉を維持するために、共生型福祉施設を理念にかかげ取り組んでいます。

 大学で、社会福祉の専門的知識の習得だけでなく、社会を生きる実践力を培うことができました。社会課題に対し解決に向け挑戦し続ける、「未来を信じ、未来に生きる」の精神で、これからもひたむきに取り組んでいきます。

●松尾 弥生(まつお やよい)

卒業年月日 2005年3月 卒業
出 身 地 熊本県
現 住 所 熊本県
勤 務 先 ㈱ 南阿蘇ケアサービス
ゼ ミ 名 岡田まりゼミ
所属サークル
団 体
ソフトテニスサークル