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2023/6/1

No.97「産社で学んだ底力で私は最後まで諦めない!!」
●2007年卒業:福永 麻理絵さん

立命館大学での学び

 産業社会学部で学ばれている皆様、校友の皆様、初めまして。私は、2007年度に産業社会学部産業社会学科人間文化課程を卒業した福永麻理絵です。

 私は、立命館に行くのが夢でした。まさか、この私が立命館に行けるなんて当時は周りの誰もが思っていなかったと思います。今でも合格発表の日は、鮮明に覚えています。分厚い封書で立命館から届き、届けてくれた郵便屋さんに「ありがとうございますっ!!!」と御礼を言い、心の中で「やったー」と叫んでいました。休日で出掛けていた両親が帰って来るのが待ちきれず、すぐに合格の吉報の電話をしました。ビックリしていましたが、とても喜んでくれました。

 興味を学びに変えていく事が出来る産社で学べた事は、今でも私の財産になっています。心理学を勉強したいと思っていた私は、最初は、心理学が学べる文学部志望でしたが、社会学の視点から人間について深く学べる人間文化課程に魅力を感じ、産業社会学部を選びました。産社は、体系的に学べる所がすごくいいと思います。色々な事柄に興味がある私にとってピッタリの学部でした。

ゼミでの活動

 「働く」事について興味があった私は、辻勝次先生の「労働社会学」のゼミに入りました。ゼミ活動で印象に残っている事は、立命館の先輩の仕事についてインタビューをして、レポートにまとめる課題が夏休みに出されました。私は、夏休みに実家へ帰省した時、インタビューをさせて頂きました。父の友人の勤務先に立命館出身の方がおられて、その方にインタビューをお願いしました。ゼミで学ぶ事によって将来、自分はどうなりたいのかを真剣に考えるようになりました。この時の私は、物事を決める時、慎重になりすぎてしまい、決められずに挑戦しないまま、チャンスを気付かないうちに逃していたかもしれません。

七転び八起き

 卒業後は、東京で就職したいと思っていましたが、本当にやりたい仕事が見付けられず、父の勧めで流れるままに地元の保育園で事務職の仕事に就きました。安定した仕事に就いても不安はいつも付いて回りました。「この仕事は本当に自分がやりたい仕事なんだろうか...」という気持ちから、気が付けば職を転々としていました。

 卒業後、何十年と長い月日が経ち、私は、本当にやりたいと思う仕事に出会えました。それは、刑務官という仕事です。「刑務官になりたい!」と決意したその日を境に、大変な日々が待っていようとは...

 覚悟は出来ていたものの、働きながらの受験勉強は本当に大変でした。初めて受験したのは、2019年です。一次試験本番の一週間前ぐらいに、夜中にものすごい腹痛に襲われ、あまりの痛さに病院へ駆け込みました。点滴を打ってもらい、検査をしましたが、異常なしでした。あの痛さは今でも忘れられません(笑)

 この年は一次試験で落ちてしまいました。「やっぱり私には無理なんだ...」と思い、諦めようと思っていました。その翌年の2020年に、就職氷河期世代を対象にした国家公務員試験を三年間行うという朗報が目に留まりました。刑務官も対象だと知って、再び受験を決意しました。2021年、社会人枠、就職氷河期世代枠を受けて、就職氷河期世代枠の方では一次試験を通過しました。初めての合格は本当に嬉しかったです。しかし、いくら一次試験を通っても最終合格しなければ意味がありません。かと言って、第一関門である一次試験を突破しなければ二次試験へは進む事も出来ません。この年は、二次試験で不合格となりました。この時は、やり切ったと思いましたが、でもどこか心の中はモヤモヤして、スッキリしていないようにも感じました。父がいつも言っています。「悔いが残る」と。父の言葉から、私は、後悔したくないと思い、もう一年、受験する事を決めました。私は、勉強時間をもっと確保したいと思い、短時間勤務が出来るパートの仕事を選び、また一から勉強する事にしました。そこまでして、自分を犠牲にしてやるのは、「刑務官になりたい」という強い気持ちが私の心の中にいつもあるからです。2022年、社会人枠、就職氷河期世代枠と受けて、両方とも一次試験に合格する事が出来ました。二次試験では、面接試験以外に、身体検査、身体測定、体力検査があります。体力検査では、立ち幅跳び、反復横跳び、上体起こしがあります。男女別にそれぞれの種目に基準が設けられていて、基準に達しない種目が一つでもある場合は、体力検査で不合格になってしまうぐらい体力検査は厳しいです。私は、面接試験と同じぐらい、体力検査では毎回、本当にプレッシャーを感じていました。体力検査の練習は、一次試験合格後ではなく、一次試験を受ける前から早目に練習しておいた方がいいと思います。急に出来るようになるわけではなく、勉強と一緒で毎日の積み重ねが大切だと思います。私は、ユーチューブで動画を見て、自分のものにしました。父に協力してもらい、タイムを計ってもらったりと毎日、練習に付き合ってもらいました。今では、この三種目に関しては、人にコツとかは、少しは教えられるぐらいまでになったかなぁと自負しています(苦笑)

 面接カードの添削や面接練習でも、父が協力してくれました。面接練習では、父に面接官になってもらい練習しました。父は、「麻理絵には、刑務官は向いてない」と時々、思い出したように言いますが、一次試験合格の時は一番喜んでくれて、二次試験で駄目だった時も、いつも、もう一度受験を後押ししてくれたのも父でした。この度の二次試験でも両方、最終合格する事が出来ませんでした。もう傷付きたくないから、この時は本当に受験を辞めようと思いました。就職氷河期世代枠の試験が2023年と2024年の二年間、延長される事になりました。私は、何度も落ちたって、たとえ傷付いたって、最後までやり切りたいという思いから、チャンスがある限りは挑戦していきたいと思っています。結果ばかりに目が行ってしまいますが、それよりもどれだけ自分自身が頑張れたか…という事の方が大切だと私は思っています。夢を持って、チャンスがあれば、悔いがないように挑戦していって下さい!!あぁ...あの時、頑張ってやったなぁーって、誇れる自分でいて下さい。

●福永 麻理絵(ふくなが まりえ)

卒業年月日 2007年3月 卒業
出 身 地 山口県
現 住 所 山口県
勤 務 先 豊東児童クラブ
ゼ ミ 名 辻勝次ゼミ
所属サークル
団 体