2013/9/24
私は2004年に産社を卒業しました。入学をしたのが26歳でしたから卒業したのは30歳。新卒扱いとはならず、就活を殆どしませんでした。20歳から26歳まではイタリア料理店で調理していたこともあり、卒業したその年の6月に京都・円町で小さなレストランを作りました。自分の身に着けた調理技術が社会で通用するのかを確かめておきたいと思ったのがきっかけです。
産社では主に社会学概論とメディア分析に傾倒し、「社会学とは」ということを叩き込んだ4年間でした。私のそれまでをリセットさせるような学びは、とてもエキサイティングものでした。「全ての現象には意味がある」という言葉に好奇心は絶大となり、「人間は君が考えている程きちんとはしていない」という言葉で世界観は反転しました。論理性と合理性と感情とシステムと制度、そして歴史。社会学は「まったく、こんなにも面白い!」。
私は社会学の虜になりました。
私が作った小さなレストランは(カウンターのみ)7席。大きさは5.5畳しかありません。しかし、自分の身に着けた調理技術が社会で通用するのかを確かめるには充分な空間。自分の技術が通用するなら、社会では生きてゆける。きっと食べてゆける。そしてここで展開される全ての現象と経験は、社会学の実践でもある。お店は私にとっての社会学実験室でもあり、生活の手段でもあり、新しいビジネス萌芽を思索する場でもあります。
そんな私の信条は「得手なことで生活する」という事。「好き」ということ以上に「できる」ということは絶対的です。「好き」は「嫌い」にもなりますが、「できる」ことは簡単に「できない」とはなりません。ポイントなのは、この「できる」に常に新鮮さを見出せるのかということです。面白いのは、「できる」ことに新鮮さを見出そうとするとき多くの場合は「できない」と映ることです。新鮮さと継続性を欲しがる人は、好奇心と価値観の再創造を楽しめることが何よりです。
私はこの性質を社会学から理解しました。私たちの生活と関係性は、常に、好奇心と価値の創造に支えられています。社会学の目的は概念を生み出すことですし、またそれを明らかにすることだと思います。その社会学の目的は個々人にも応用が利きます。社会は私たち個々人の関係性です。個々人である私たちが社会学的であることは、社会にとってハッピーであると私は考えています。
私は社会人入試枠を利用して入学をしました。学びの門が常に開かれていたことで、私は社会学と出会うことができました。立命館大学は私に可能性を与えてくれました。学問の大きな役割は個々人への可能性の付与です。個々人はその可能性を社会で発揮します。可能性の多様さは、社会の彩ではないでしょうか。私はキラキラしている社会がいいなぁ。よりキラキラした社会を見たいので、私は今日も頑張ります。
●水谷 啓郎(みずたに よしお)
卒業年月日 | 2004年3月 卒業 |
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出 身 地 | 愛知県 |
現 住 所 | 京都府 |
勤 務 先 | イルピアット(食画株式会社) |
ゼ ミ 名 | 3回生山下高行ゼミ 4回生中川勝雄ゼミ |
所属サークル 団 体 |
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