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2016/11/30

No.59「自分を変える『出会い』に出会える大学」
●2008年修了:藤田 悟さん

自分を変える最初の「出会い」

 はじめまして。2000年度卒業の藤田悟と申します。

 学部卒業後は大学院社会学研究科に進学し、2007年度に博士後期課程を修了しました。現在は、立命館大学をはじめとした大学での非常勤講師、NPO法人京都自由大学という市民大学の運営、また他のNPOで生活相談員の仕事もしています。何だかとっちらかった感のある現在の仕事ですが、ここに至る学生時代の経験を振り返ってみたいと思います。

 大学時代は授業のかたわら仲間と小劇団を結成しコントを演じたり朝まで呑み明かしたり、どこにでもいるごく普通の学生でした。そんな自分を変える最初の出会いは佐藤春吉ゼミに入ったことでした。

研究の世界から社会への関りのなかでの「出会い」

 佐藤先生から社会思想の奥深さを学び、先生に誘導(?)されるように、大学卒業後は就職ではなく大学院への進学を決意することになったからです。大学院での研究テーマは、「市民社会とは何か」。さて、こうして大学院へ進学したものの、思想史という研究分野のため研究室と図書館を往復する日々。市民社会の研究と言いつつ社会とは無縁の象牙の塔に暮らしているような気分に陥っていました。そんな中、学会で知り合った先生から「NPOを立ち上げるから一緒にやらないか」とのお誘いがあり、研究テーマの実践にかかわるチャンスと思い手伝うことに。以来十数年、気付けば運営する側に立っています。さてさて、こうして研究のかたわらNPO活動を始めてみると、様々な人々との出会いが待っていました。そのすべてが貴重なものでしたが、なかでも野宿者支援の活動を行う方々との出会いが、また自分を大きく変えてくれました。ホームレス状態にあることによって「市民」として扱われず市民社会から排除されていく人々。野宿当事者や支援者の人々との出会いによって、自分の中にあった「市民社会とは何か」という理論的関心の上に、「市民とは誰か」「市民として生きていくための条件は何か」といったより実践的な関心が育っていくことを感じました。出会いが研究テーマを変えたのです。ここから、現代日本の雇用問題や貧困問題についての研究も始めることとなり、その中での労働組合や福祉関係の人々との出会いによって、生活に困った人の相談を受ける生活相談員の仕事もするようになりました。

人生の選択肢となった多くの「出会い」

 こんな風に学生時代を振り返ってみると、様々な人との出会いがその都度自分を変えてきたんだなあと、またその出会いから生まれる流れに身を任せてみることで様々な人生の選択肢が開けてきたんだなあと、改めて感じています。たぶんこれからも、色んな人との出会いが自分の人生を変えていくのだと思います。とっちらかった人生はもうしばらく続いていきそうです。大学は、自分を変えてくれる「出会い」にたくさん出会える場です。学生の皆さんには、そうした「出会い」とそれによって変わっていく自分を楽しんでほしいなと思います。そしてこう校友の皆様には、そうして変化し成長していく産社の学生を温かく見守って頂ければと思います。最後に、学生の皆様が実り多い学生生活を送られることを、そして全国の校友の皆様が充実した人生を送られることをお祈り申し上げます。

●藤田 悟(ふじた さとる)

卒業年月日 2008年3月 博士課程後期課程終了
出 身 地 静岡県
現 住 所 京都府
勤 務 先 NPO法人京都自由大学理事
大学非常勤講師
ゼ ミ 名 佐藤春吉ゼミ
所属サークル
団 体
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