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応用人間科学研究科の教員紹介

家族機能・社会臨床クラスター

尾上 明代教授

Akeyo Onoe

 

ドラマセラピー・集団精神療法・芸術療法

 
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研究テーマ

さまざまな対人援助領域におけるドラマセラピーの実践・応用の方法

コメント

ドラマセラピーは、芸術療法の一つです。米国ドラマセラピー学会(NADT)の定義では、「ドラマ・演劇のプロセスと結果を系統的かつ意図的に用いて、症状を緩和する治療を行なったり、感情的・身体的な統合をすすめたり、また個人の成長を達成させようというものである。」となっています。

NADTのドラマセラピストたちの活動領域は、医療(慢性精神病、摂食障害、PTSD、薬物依存等の精神科の患者、ターミナルケアを受ける患者等)、福祉(発達障害等がある方、認知症等の高齢者、被虐待者、復員兵、受刑者など)、教育現場等であり、病気の治療としてだけでなく、幅広い目的で、さまざまな対象者に行なうことができるのです。

私は、臨床の場だけでなく現代社会におけるニーズに合わせ、一般の人に向けて、積極的な心の健康や、病気の予防という観点からも、この療法が役に立つよう応用方法を考え実践してきました。

さらに、創造力や自己表現力等を向上させることを重視した視点での教育方法を編み、対人関係・コミュニケーションスキルも習得できるように工夫した授業やセッションを教育現場や企業等でも実践し、その効果等も研究しています。

セラピーでも、その他のグループ活動でも、参加者が個々に分断している状態から、共同して参加し、理解しあっていく過程が大変重要です。そのプロセスそのものが、治療にもなるのです。

グループセラピーとしてのドラマセラピーの理論と実際を体験して、将来の対人援助活動などにおける「対人」理解力を獲得してほしいと思っています。

キャッチコピー

自発性とPlayfulnessが、創造的な研究・創造的な人生の鍵!

個人ホームページのアドレス

http://dramatherapy.hopto.org/

推薦図書

"Tuesdays with Morrie"  Mitch Albom, 1997, Doubleday
「モリー先生との火曜日」 ミッチ・アルボム著 別宮貞徳訳 2004 NHK出版
 難病(ALS)のモリー教授が、病床で元教え子に行なった毎週火曜日の「講義」記録。 身体的自由とindependenceを次々と失いながらも、他人へのdependenceを積極的に楽しみ、生きる姿に、人生・そして援助者と被援助者の関係を真剣に考えさせてくれます。平易な英文なので、ぜひ、大ベストセラーになった原本を読むことをお薦めします。

「人間の条件」 ハンナ・アーレント著 志水速雄訳 1994 筑摩書房
西洋文明中心ですが、人間が人間として存在するあり方を、古代・中世と対比しながら考察したもの。公的領域と私的領域を古代から現代に読み替えながら、社会的動物としての人間にとっての、他者との共通領域の重要性を説いています。「人間とは何か」を問い、考えるとき、とても参考になります。


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