立命館土曜講座 開催講座一覧


2007年8月4日 講師:岡田 英樹

『満州国』とは何だったのか−文学を通して考える−

 1932年3月に「建国宣言」を発した「満洲国」は、13年余りで幕を閉じることになります。「満洲国」は当時の国際社会に配慮して、民族共生の理念(「五族協和」)を掲げますが、異民族統治という現実に向きあうなかで政治的統制を強力に推し進めざるを得ませんでした。しかもこの政治的圧力は「満洲国」在住の各民族によって、その加わるベクトルは当然違っていました。みずからの民族的アイデンティティーを確認しながら、この強力な政治的磁場をどう生きぬくのか、それが問われていたといえるでしょう。
 「満洲国」を生きた作家の足跡をたどることで、こうした問題にせまってみたいと思います。
 講座では、中国人作家古丁、朝鮮人作家今村栄治、ロシア人作家バイコフ、そして日本人作家大内隆雄を取りあげ、それぞれの身の処し方を浮き彫りにするとともに、「満洲国」というレジームが崩壊した1945年8月以降のかれらのたどった運命にもふれ、「満洲国」とは何だったのかを考えてみたいと思います。  

前のページに戻る

このページのトップへ