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2009年3月28日 講師: 朝海 和夫

転換期の日本外交 ― 日本と欧・米・アジア、そして、世界 ―

 国際金融市場は「百年に一度の危機」を迎えている。この危機の意味合いについては、例えば、問題の根本は人間の(投資家の)「貪欲(greed)」にあるとの指摘や、資本主義とは何かという問題を改めて提起した、との分析もある。米国国民の貯蓄不足・消費過剰傾向こそが問題であり、これを是正しなければならない(こうした米国経済を頼りにしてきた中国等は輸出依存型経済から内需重視に切り替えなければならない)、とも言われる。今後世界経済は90年代末以降の成長神話、過度の楽観主義を戒め「ローリスク・ローリターン」に向けて調整せざるを得ないとの指摘がある一方で、高齢化など現下の諸問題に対処するためには「ミドルリスク・ミドルリターン」を目指すべきだ、との見方もある。ローリスクかミドルリスクか、という点は日本の外交についての論点でもある。日本は60年以上の平和の故か、対外関係でのローリスク(及びローコスト)を当然視する傾向にある、しかし世界が抱える諸問題を考えれば、インド洋での活動などを含めて「ミドルリスク・ミドルリターン」を目指すべきではないか、と言うのだ。経済にせよ外交にせよ、ミドルリターン程度は得たいのは自然なことで、そのため多少のリスクも止むを得まい。問題は、どうすれば合理的なリスクテーク能力を身につけるようになるか、だろう。

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