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2009年4月11日 講師: 木立 雅朗 ・ 岡本 隆明

友禅図案のおもてとうら― 図案とその裏側にある近現代資料 ―

 立命館大学アート・リサーチセンターは多数の西陣織図案・友禅図案を所蔵しています。これらは明治末から昭和40年代頃までのものですが、大正から昭和初期にかけての一群の図案には保存のために裏打ちがされているものが多くあります。裏打ちにはさまざまな紙が用いられており、染織業関係の書類だけではなく、軍や役場、学校関係の文書もあります。
 これら文書は裏打に用いられたために偶然残存したという性質上、いずれも断片的なものですが、このようなところに近現代史の資料が含まれていることは従来あまり注目されていないのではないでしょうか。
 また、裏打ちのなかには、子供の落書きと思われるものも見つかりました。これには警官がサーベルをかまえ、複葉機が飛んでいる絵が描かれていて、このようなところにも時代が反映されています。
 もちろん、図案の図柄そのものにも時代はあらわれていますし、図案がたどった道、すなわち、冊子にまとめたり裏打ちをしたり、手を加えて大事に保管されてきた図案が、時代の移り変わりのなかで不要なものとして処分され、立命館大学にやってきたことにも社会の動きがあらわれているといえます。
 現在、整理作業を進めている図案について、表と裏からわかることを述べたいと思います。

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