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2009年6月13日 講師: 池本 幸生

ベトナム中部高原の少数民族とコーヒー、エコツーリズム

 大学で開発経済学を教えていて、最近、気になることがある。それは、学生の中に、発展途上国の人々を「貧しい」と決めつけ、見下すような態度をとる者がいることである。以前はそんなことを感じたことはなかった。途上国に関心を持ち、途上国の立場に立って途上国の人々を見ていたような気がする。この変化はちょうど日本が不平等社会になったと言われた時期と一致する。不平等な社会とは、このような態度に表れる優位順位に基づく社会である。
 日本人がアジアに観光旅行に出かけても、これと同じようなことが起こる。見下すような意識を持っていれば、現地の人を怒らせてしまう。そのような潜在意識に気がついていないと、なぜか怒り出す現地の人に困惑し、相手が悪いと思い込んで帰ってくる。観光を楽しもうとすれば、観光する相手を対等な者として尊重することである。
 人は能力においても価値観においても多様である。多様な生き方をしている人を対等な者として尊重する社会が平等な社会である。人類は平等に生きるように進化してきたのである(詳しくは、ウィルキンソン『格差社会の衝撃』を参照のこと)。観光は、このことに気付く絶好のチャンスである。

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