2009年10月31日 講師：　加茂　登志子

女性の生涯とメンタルヘルス

　博士論文で摂食障害に取り組んで以来、女性精神医学と心身医学の両軸をテーマとして診療・研究に携わってきました。摂食障害の治療、慢性身体疾患のため血液透析・臓器移植を受けている患者さんやアトピー性皮膚炎の患者さんのメンタルケアなどを経て、平成９年に東京都女性相談センターの精神科非常勤嘱託医となってからは、ドメスティックバイオレンス（DV）の被害を受けた女性の診断・治療にかかわる機会が増え、被害者学、トラウマ学や外傷後ストレス障害に関連した心のケアにも取り組むようになりました。現在、女性の心身のQOLの維持と向上をめざす女性生涯健康センターで女性のメンタルヘルス全般に取り組んでいます。
　女性の心身の健康は例えばオーケストラの演奏のようなものです。女性ホルモンが深くかかわる月経に関連したうつ病（月経前症候群、産後うつ病、更年期うつ病）、女性に多いトラウマであるDVや性犯罪被害によるPTSD等のトラウマ関連疾患、現代女性の生き方の写し鏡である摂食障害。多様性・重層（重奏）性が女性のライフサイクルとメンタルヘルスのキーワードです。知ることはセルフケアの第一歩と自分でも常日頃思っています。

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