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2009年11月14日 講師: 吉田 美喜夫

雇用対策の法と政策

雇用の危機が続いています。失業率は5.7%を超え、今後、一層の悪化が予想されます。その一方で、少子・高齢化が確実に進行しており、労働力が不足していくことは明らかです。また、失業や短時間就業など、労働時間がまったくないか、きわめて少ない労働者の対極に、過労死の認定基準に当たる時間外労働が月80時間を超える労働者が約550万人(約1割)もいます。さらに、有期雇用や派遣労働など、雇用に安定を欠いた労働者も増大しています。このような歪んだ雇用の在り方は、少しずつ日本の社会を蝕んでいくことが懸念されます。ではどうしたらよいでしょうか。その方法として、ワークシェアリング(仕事の分かち合い)や解雇規制の強化、有期雇用の適切な規制、定年退職後の継続雇用の保障などが考えられます。しかし、大事なことは、このような個々の方策の寄せ集めではなく、労働の基本的な在り方自体を確立する必要があります。これに関して、たとえばILOのディーセントワークやEUのフレクシキュリティ(flexicurity:規制緩和と労働者保護の両立)などの考え方が参考になります。今回の講義では、今後の雇用の在り方を労働法の観点から考えます。

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