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2009年12月5日 講師: 中西 新太郎

生きづらさの時代と学生・若者 −「大人になる」ということ−

 スクール・カーストという言葉をご存じだろうか。いま、学校の友人関係は、まるで大昔の身分制のように、上下の秩序がきっちりとできあがって身動きがとれない。運悪く「下層」と判定されてしまったら、クラス替えまで辛い1年間が待っている。……そんなことをある小さな集まりで話したら、たまたま参加していた高校生が、「私の毎日をそのまま写してきたみたい」と喋りかけてくれた。「苦しいのはとてもよくわかるけれど、何とか生き延びなくてはね」と話し合った。
 生き延びることに大変な苦労がいる環境は、学校を出ても続く。若者たちが働く現場は、収入が低いというだけでなく、過重労働や精神的苦痛が目白押しの状況である。多くの大学生、高校生が、そうした環境下でアルバイトとして働いている。アルバイトとは実は名ばかり。彼女ら彼らは職場の「戦力」であり、立派な労働者だ。だが、若年ゆえに、無力ゆえに、理不尽な働き方を甘受させられてしまう。職場でも学校でも「生きづらい」そういう若者たちのリアルなすがたを受けとめ、私たち大人は何ができるか、社会はいまどんな支えをすべきなのか考えてみたい。

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