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2009年12月12日 講師: 山上 浩二郎

現代社会と大学教育 −学生の多様化と学びの質−

 どの大学も、大学に入ったばかりの1年生に対して、大学生の第一歩として身につけることを教える「初年次教育」というプログラムに力を入れています。図書館の利用方法やテーマを設定したうえでの議論と論文作成からプレゼンテーションの方法、薬物の危険性など日常的な過ごし方の指導まで、さまざまです。先日、取材した山形大学では、基礎ゼミの形式で、過疎地域の住民が講師となり学生が地域の文化や自然、農業などを学ぶ授業を実施していました。大学の教員も熱心にその授業に付き添い指導していました。
 30年前の大学と比べると隔世の感があります。入学しても学生はほったらかされ、教員は自分の授業を進めていく。そんななか、学生は自由に羽ばたこうとしつつ、飛べない場合もあります。でも、牧歌的な時代でした。
 高い授業料を払う立場からするとどちらがいいのかといわれると、それはいまの方がいいでしょう。しかし、30年前にはその時代のよさもありました。
 一握りの生徒が大学に入る時代から、いまや高校生の2人に1人は大学に行く時代です。大学と学生が変わるのは当たり前です。それにしたがって教員も変わります。
 ただ、基本は変わらないのではないか。大学が学生を社会に送り出すための知的な場であり、人的につながりのある場であり、何よりさまざまな学問や研究の壁、社会的な貧困や停滞を乗り越えていくのを手助けする場であります。その基本を教え、学ぶところが大学です。私は大学をかなり肯定的にとらえています。

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