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2010年1月23日 講師: 益田 兼房

日本のユネスコ世界遺産条約加盟と世界遺産登録

 ユネスコが、最近日本で広く知られるようになったのは、世界遺産の認定や保護に関わる国際機関、としてかも知れません。国際的な観光資源として、地域興しの切り札のように、全国各地で世界遺産の登録のための動きが起きています。
 私の担当する「日本のユネスコ世界遺産条約加盟と世界遺産登録」では、当時の文化庁の担当者として、1992年頃の日本政府のこの条約への加盟の前後の経過、その後の日本の世界遺産登録の動きや世界各地の保護の状況などを、世界各地の遺産の写真を中心にご紹介したい、と思っています。
 条約がユネスコ総会で採択されたのは、40年近く前の1972年です。日本は加盟までに20年もかかり、アジアでも最後に近い国でしたが、その理由は何だったのか。条約への加盟は日本の文化遺産保護の方法や制度を、世界の中で考え直す契機となりました。文化遺産が保護すべきホンモノとしての価値Authenticityとはなにか、西洋の石の文化と東洋の木の文化が共存するための調整も必要でした。私たちの世界遺産「古都京都の文化財」を、人類共通の遺産として保護する責任を、再度考えてみましょう。





 世界的な文化・自然遺産を保護し保存する理念は万国共通であり、遅まきながら日本のユネスコ加盟は概して当を得ている。 以来日本は14件の登録を課しているが、今後もコンセプトは尊重し、費用対効果を考慮して実質を伴う選択を続けるのが望ましい。 また、遺産の管理は巨費を用い衆知を集めた活動を要するので、先ず以て基盤の整備と総力の結集を欠かしてはならないであろう。

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