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2010年2月20日 講師: 土岐 憲三

京都の文化遺産と災害

 京都にある文化材は京都の人のみならず、日本人あるいは世界の人々が共に誇る文化遺産である。 それらの中には平安京の以前から存在するものも少なからず、それらの作られた時代の人々の精神活動を今日に伝えるものであり、我々が先人の考えたことや生活を学ぶ縁である。 こうした文化財や文化遺産を各種の災厄から守ることや、損傷を受けたものを復興する努力も古くから行われて来たために、現在我々が見て、触れて、読む事で先人に思いを致す事が出来ているのである。我々の手に届くものは決して造られたときの姿そのものではない。 しかしながら、多くの人は現在遺されているものは有るべくして有ると思われがちであり、歴史的にも大きな変化は無かったと考えられている。 しかしながら、それは大きな間違いであり、今から約百年前とそれ以後とは文化遺産をめぐる環境は大きく変わっており、特に都市の構造、社会の在りようの変化は著しいことから、京都の文化遺産は災害に対して極めて脆弱な状態にあり、一度失えば復興が出来ない状況にある。 こうした変化の過程と直面する危険度について講述する。





 京都市の近年の急激な都市化が与える影響に驚きました。3〜40年後に必ず南海・東南海地震が来る、その前に内陸地震が襲って来る・・・人間の寿命を基点にすれば「かなり時間がある」となりますが、自然のそれから勘案すると「ほんの一瞬」です。
 現行のまま推移すれば、貴重な文化財の多くが消(焼)失するのは必然です。国や自治体に依存せず、市民やNPOが積極的に活動しなくてはならないと痛感しました。
 千本釈迦堂、革堂、相国寺、東寺、清水寺など市街地に在る寺院が危機にひんしていることは、我々はもっと危機感を持つべきです。
 後世の人たちに文化財をバトンタッチする事が20〜21世紀の我々の責務であると思います。
 土岐先生の最後の「日本人・京都人」観に全く賛成です。

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