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2016年5月14日 講師:樋口 陽一

「感じる」こと と 「考える」こと――加藤周一・戦争・知識人――

  いま日本の 多くの大学では、学生へのサーヴィスの一環として、年間の講義の多少とも詳しい計画を記した「シラバス」を配ることを教師に義務付けていると聞く。“syllabus”が教皇の発する謬説表だったことを思えば、今現在の習慣はプロテスタント系の大学からでも発したものなのだろうか。それはそれとして、講義というものは、それを続けている間に、論理の展開や取り上げる具体例などが変わってゆくのが普通ではないだろうか。そのことを通して、教師の方も一年ずつ成長をしてゆく、そういうものではないだろうか。
 一年どころではない。一回限りの話でも、そのことを折にふれ気にしている間に、話すことの重点が移ってくる。私の副題にしている「加藤周一・戦争・知識人」は、現時点でも話の素材料にするつもりに変わりはないが、いま副題をつけるとしたら「加藤周一の『往復運動』」としたいところだ。もとより、加藤自身が丸山眞男について語った「精神の往復運動」の語り口に学んで及ばざることは、お許しねがう外ないが。

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