アジアの多文化社会と国民国家  
著者・編者: 西川 長夫, 山口 幸二, 
渡辺 公三 編
出版社: 人文書院
発行年: 1998.10
定価: ¥2,310
 
目次
 
  序・国民国家とアジアの現在 西川 長夫 (11)
       
一 飼い慣らされるエスニシティ,暴力化するエスニシティ
―現代インドネシアの民族と国家
山下 晋司 (26)
  1 はじめに
  (26)
  2 民族と国家――インドンネシアの場
  (27)
  3 インドネシアの文化政策   (29)
  4 飼い慣らされるエスニシティ   (31)
  5 暴力化するエスニシティ   (37)
  6 エスニシティを越えて――グローバル化のなかで   (40)
  7 結語   (42)
       
二 東南アジア島嶼部における港市とエスニシティ 弘末 雅士 (46)
  1 インドネシアの国民統合とエスニシティ   (46)
  2 地域世界の形成媒体としての港市   (48)
  3 前近代の内陸民族世界   (52)
  4 近代植民地体制と多様なるエスニシティの出現   (55)
  5 インドネシア民族主義の台頭   (59)
  6 インドネシア民族主義とスク・バンサ   (63)
       
三 多民族国家マレーシアにおける国民統合 野村 亨 (68)
  マレーシアの地理環境 近代の歩み 国境の確定 日本の軍政支配 独立へのあゆみ マレーシア連邦の結成 民族構成 民族と政治 ブミプトラという概念 選挙制王政 国教としてのイスラム 法律上のジレンマ 民族対立の種 国民意識と国家統合 同族社会の危うさ    
       
四 複合移民社会の国民統合―シンガポールの場合― 田中 恭子

(84)

  1 はじめに   (84)
  2 歴史的背景   (85)
  3 言語と市民権をめぐって   (88)
  4 マレーシア   (90)
  5 都市国家のサバイバル   (93)
  6 努力と幸運――成功の要因   (95)
  7 おわりに   (98)
       
五 タイにおける国民国家―歴史と展望― 村嶋 英治

(102)

  1 一九世紀いらいのタイの歩み   (102)
  2 民族,仏教,国王の三位一体   (108)
  3 「タイ人」の形成   (113)
  4 植民地体制からの脱却   (116)
  5 民族自決の動きと米英仏の牽制   (123)
  6 冷静時代の民族と国家   (126)
       
六 ドイモイと文化の変化―変わるベトナムと少数民族― 古田 元夫

(130)

  1 ドイモイとは何か   (131)
  2 ベトナムの民族構成の多元性の再認識   (133)
  3 ドイモイ期の少数民族社会   (138)
       
七 植民地支配の歴史を越えて
―未来への投企としてのフィリピン・ナショナリズム―
清水 展

(148)

  1 はじめに   (148)
  2 スペイン支配の空間として   (149)
  3 アメリカの影のもとで   (153)
  4 文化の混血性と「未完の革命」   (160)
  5 おわりに   (167)
       
八 中国の国民統合と「中華民族」 大ア 雄二

(172)

  1 「国民国家的思考」の呪縛   (172)
  2 中華という世界秩序   (176)
  3 「那遜(ネーション)」,「民族」のもつ二重性   (182)
  4 一にして多の中華人民共和国   (187)
       
九 今日のヒンドゥー教とメディア・テクノロジー 中村 忠男

(193)

  1 テレビをめくる二つの風景   (193)
  2 テレビ叙事詩とコーラ:インドにおけるテレビ・メディアの発達   (195)
  3 「トヨタ・ヒンドゥーイズム」:ヒンドゥー至上主義と メディア・テクノロジー   (201)
  4 再びテレビをめぐる風景へ   (208)
       
十 国民国家の成立とアジア映画
―マレー半島における映画製作事例から―
松岡 環

(210)

  1 アジア映画の勃興と定着   (211)
  2 大スタジオ時代のコスモポリタン的映画製作   (216)
  3 国民国家成立と大スタジオ時代の終焉   (222)
       
シンポジウム「アジアの中の日本・日本の中のアジア」(司会・山口幸二)
  <報告>    
   アジアから世界の国民国家を考える 西川 長夫 (230)
 

 一 はじめに――美術展「東南アジア一九九七」のカタログから
 二 国民国家の普遍性と多様性――アジアから世界の国民国家を考える
 三 抑圧と差別の中に息づく未来の可能性

 
  <コメント>    
   1 タイの国民統合 竹内 隆夫 (251)
   2 東南アジアの華人ネットワークについて 小木 裕文 (257)
   3 自己認識・生存認識にかかわるアジア体験 木村 一信 (263)
   4 記憶のエコノミー 中島 隆博 (269)
   5 国家が個人をとらえる 渡辺 公三 (274)
   (補足)シンポジウムを終えて
 ―今後の議論の素材の一つとして
山口 幸二 (280)
       
関連略年表   (293)
著者略歴 (294)
       


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