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  • 差別の歴史を風化させない

産業社会学部 金原遥

ハンセン病は、もうなくなります。
ハンセン病の差別は、まだなくなりません。

ハンセン病を知ることは、その差別の歴史を知ることでもあった。
彼女が初めてその病気を知ったのは、
台風の災害支援ボランティアで訪れたフィリピン・クリオン島。
その島はかつて「世界最大のハンセン病隔離島」と呼ばれ、
社会から隔離された歴史を持つ。
フィリピン全土から患者が送還され、過酷な環境の療養所に強制収容。
ハンセン病は手足や顔面の変形といった外見への影響から、
強い感染力や発症力があるという誤解を生み、このような過ちは起きた。
世界制圧されつつある今でさえも、
回復者には差別や偏見がつきまとうと島民は口にする。
この島を訪れた目的は別だったが、差別をなくす活動を支援したいと彼女は思った。
帰国後もこの島に渡り、延べ1ヶ月以上、取材を敢行。
そして、昨年、この島の様子を撮影した写真展を開催。1000人が来訪した。
「ハンセン病を考えることは、人権問題を考えること」と彼女。
彼女たちのような若い世代が、その歴史を受け継いでいくことは、
差別のない未来を作る一助となるはずだ。