• 044
  • 科学の力でえん罪に立ち向かう

政策科学部 教授 稲葉 光行

科学の力で、日本の刑事司法制度に挑む、
「えん罪救済センター」設立。

「繰り返されるえん罪は、もはや司法制度による犯罪だ」
今年4月、えん罪が疑われる事件を無償で再検証する「えん罪救済センター」を設立した。
代表を務める稲葉はもともと情報科学が専門。刑事司法は専門外だ。
きっかけは、13名のえん罪被害者を出した鹿児島「志布志事件」の自白調書を分析したこと。
「言語解析の力を司法にも活かせないか」と誘われた。
520通もの調書をコンピューターにて再検証した結果、強要自白であったことが明らかに。
新たな証拠として提出され、再審請求の強力な支援となった。
稲葉は、司法における科学検証の必要を感じると同時に、
自白偏重による刑事司法のあり方に大きな憤りを感じたという。
「このままではえん罪は幾度も起こる。
科学の世界では失敗の原因究明、再発防止策は当たり前。
人の運命を左右するはずの司法に、えん罪の再発防止の制度がないのはおかしい」
現在、弁護士、法学者、科学者など約20名が有志として参加。
無実の人を救うだけでなく、えん罪を生まない刑事司法制度への改革を目指す。