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  • 寛容な社会が生み出せるもの

先端総合学術研究科 准教授 小川さやか

アフリカに学ぶ。
豊かさとは?働く楽しさとは?

「日本人は楽しそうな顔をして働いていない」と彼女は言う。
「未来の安定のために、今を犠牲にして働いてはいないか?」とも。
文化人類学的視点からタンザニアの経済活動を研究する彼女。
最貧国の一つでありながら、人々は底なしに明るい。
そこに魅力を感じ、古着の行商人を3年半に渡り経験することから研究を始めた。
彼らに安定した雇用はほとんどなく、リスクの分散のために複数の職を持つ。
自ら小規模なビジネスを展開しては、次々新しいものを取り込んでいくのは当たり前。
安定しない稼ぎでも、負い目を感じることなく適度にお金を融通し合う。
責任論が飛び交う日本との違いに、心底驚いたという。
近年では、チャイニーズドリームを求め、中国へと大量に進出。
言語も文化も異なる環境でも、「なんとかなる」という余裕をもってイキイキと稼いでいる。
「まず試してみようという気持ちは、無根拠で無条件であることから生まれる」と彼女。
生きることや助け合うことに、根拠や条件はいらないように。
「多少の失敗に寛容な社会を作り出せてこそ、新しいチャレンジは生まれる。」と語る。
彼女の研究から、今、日本に求められているものが見つかるかもしれない。