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  • 食から国を考える

食マネジメント学部  准教授 マリア・ヨトヴァ

日本のヨーグルトが教えてくれた
母国ブルガリアの真価と誇り。

「ブルガリアといえば?」の問いに
多くの日本人は「ヨーグルト!」と答える。
それと同時に豊かな自然に囲まれ、穏やかに暮らすブルガリアの人々を思い浮かべるはず。
実は、このイメージこそが母国ブルガリアに誇りを与え、
新しいブランディング活動の原動力になったことが彼女の研究で明らかになった。
来日した20年ほど前、ブルガリアは社会主義崩壊による
高い失業率、低収入、汚職問題の混乱から立ち直りを見せたばかり。
欧州と日本のブルガリア像の隔たりに驚くとともに、
その驚きが彼女を研究の道へと進ませた。
時を同じくして、ブルガリアは負のイメージを払拭しようと
新しい国のPR材料にヨーグルトをチョイス。
日本に倣い「日常食」から「健康食」へとイメージをシフトし、
ブルガリア菌の発見や日本との技術開発で前向きなイメージをアピールしたという。
彼女は、その流れを為政者から経営者や研究者、生産者まで取材。
その論文は高く評価され、出版にまで至った。
「これからは、国の政策や経済などとも照らし合わせ、多角的に食を考える必要がある」と彼女。
新しい食の見え方は、新しい世界の見え方をつくるに違いない。