高校生と宇宙をつなぐ遠隔宇宙教育プログラムの実践報告
2025年度、立命館大学宇宙地球探査研究センター(以下ESEC)の土元哲平准教授・仲内悠祐准教授が、高校生を対象とした二つの宇宙教育プログラムを実施しました。
京都府の高校生を対象とした「学びのWEBラボ〈宇宙〉ラボ」と、立命館附属高校生を対象とした「COSLAB」です。いずれもおおむね月1回のペースで全課程を実施し、2025年度の活動を終えました。
学びのWEBラボ〈宇宙〉ラボ(京都府教育委員会主催)
「令和7年度 学びのWEBラボ〈宇宙〉ラボ」では、京都府内の高校生11名を対象に、全9回の部活動を実施しました。対面にて、BKCの月探査研究室にもお越しいただきました。参考URL :令和7年度 学びのWEBラボ「成果交流会」を実施しました!
立命館宇宙部活COSLAB(R2030推進のためのグラスルーツ実践支援制度)
「R2030推進のためのグラスルーツ実践支援制度」の採択を受け、立命館附属高等学校4校(立命館高等学校・立命館宇治高等学校・立命館慶祥高等学校・立命館守山高等学校)から高校生計46名が参加し、全6回の部活動を実施しました。関西圏の附属高校生には、びわこ草津キャンパス(BKC)の月探査研究室にもお越しいただき、立命館慶祥高等学校の生徒に対しては、現地に出向いての研究紹介・体験も実施しました。
対面開催時の活動の様子
いずれの取り組みでも、火星での生存を題材とした映画「オデッセイ」を惑星科学・宇宙心理学の二つの視点から読み解くことを核として、文理融合の部活動としてプログラムを展開しました。対面形式での授業では、宇宙から地球を眺めるVR体験、実際に月面で写真撮影をしたSORA-Qの操作体験を実施しました。また、宇宙に関する疑問や宇宙関係の進路などについて、大学生・大学院生の先輩も交えて話せる機会をもちました。
【参加した高校生の感想】(一部抜粋・修正)
- SLIMは私が中学3年生の時にニュースで月に精密な着地をしたとは聞いていましたが、それを実現した技術や、宇宙研究にどのようにつながっていくのかを宇宙ラボで知ることができました。LEV2におもちゃの技術が使われていることに驚き、宇宙探査には思ったよりも多くの分野の知識が関係していることに気づきました。心理学から宇宙を見ることは、宇宙に人が進出する際に大きな役割を果たすことになると分かりました。月に行くことは風土の改革という言葉が1番印象に残っており、月に人が住むことを改めて考えるきっかけとなりました。(学びのWEBラボ参加高校生)
- 高校の授業だけでは学べないことをたくさん教えてもらえたのがとても良かった。比較的少人数だったので、専門家の方との距離も近く、聞きたいことが聞きやすかった。また、自分が調べるだけでは気に留めないようなことや、新しい観点から宇宙を見れたのが楽しかった。(学びのWEBラボ参加高校生)
- より宇宙を身近に感じることができました。実際にこんな活動が行われていたんだと知ることができたり、ミッションについて仲内先生から直接お話ししていただいて、とても勉強になりました。自分が文系なので、文系でも宇宙に関わっていけると知れたのは本当に嬉しかったです。オデッセイを見て、極限状態での心理なども考え、今までとは全く違う視点で宇宙を見ることができたと感じました。(COSLAB参加高校生)
- COSLABでの活動を通して、知らない人と話し合うことの大切さを学びました。最初は少し緊張しましたが、同じように宇宙に興味をもっている人たちだったので、話していくうちに楽しくなりました。 自分とは違う考え方や視点を聞くことで、「そんな考え方もあるんだ」と気づくことが多く、とても刺激になりました。特に、火星探査や宇宙開発についての意見交換では、同じテーマでも人によって注目しているポイントが違い、話し合うことで理解が深まりました。 また、自分の考えを相手にわかりやすく伝えることの難しさも感じましたが、それと同時に、伝わったときのうれしさも感じることができました。(COSLAB参加高校生)
【参加した大学生・大学院生の感想】
- COSLABでは、宇宙に関する専門的なお話を数多く伺うことができ、とても貴重な経験となりました。また、共通の興味を持つ付属校の学生が集まり、学校の垣根を越えて楽しそうに交流しながら新しい体験をしている様子がとても印象的でした。その様子を見て、私が高校生の頃にもこのような企画があればぜひ参加してみたかったと感じました。(立命館大学・総合心理学部4回生 石原彩香さん)
- 学びのWEBラボおよびCOSLABの両方に参加させていただき、宇宙に対する高校生の深い熱意に大きな感銘を受けました。私自身の高校生時代を振り返ると、そのように興味関心を広げられる場は多くなかったように感じます。教職員や大学生、他校の高校生と議論を行う中で、参加された皆さんにとって、普段の学校生活では得られない素晴らしい経験となったのではないかと思います。また、「高校生から見た宇宙や地球」に触れ、自由な発想や大胆な表現力など、新しい発見が沢山ありました。今後の卒業研究に活かしたいと思います。(立命館大学・総合心理学部4回生 藤本雅子さん)
- 土元哲平准教授・仲内悠祐准教授の専門的なお話を理解し、自分自身で考えることができる高校生がこんなにもいるということに驚かされました。宇宙に対して興味を持つ好奇心旺盛な高校生に、惜しみなく専門的な話を伝えていくこの取り組みは、知識の伝達にとどまらず、学ぶことの楽しさや探究心を育む重要な機会であると感じました。また、高校生たちが単に話を聞くだけでなく、自ら問いを立て、理解しようとする姿勢から、主体的に学ぶことの大切さを改めて実感しました。(立命館大学大学院・人間科学研究科2回生 岡本真侑さん)
両プログラムを通じて、2025年度は合計57名の高校生とともに宇宙に関わる活動を実施することができました。今後も改善を続けながら宇宙教育の活動に取り組んで参ります。