立命館大学 大学見本市

分野

装置・デバイス

画像解析を用いた
歩行・走行動作の解析

An image-processing based method to analyze
walking and running motions

SDGs3
スポーツ健康科学部
長野 明紀 教授

OUR FIELD

研究の概要、狙い

画像解析の技術を用いて時々刻々の位置と速度を求める

私の研究室には、陸上のハードル競技をしている学生がいました。この競技ではハードルを跳び越えるときに減速、地上を走るときに加速する運動を繰り返しています。どの選手がどのタイミングで、どの程度の速度変化をしているかを調べるシステムを考案しようと思ったのが、このシーズの出発点です。スポーツの現場だけではなくヘルスケアの分野でも、歩行・走行速度は重要な指標として注目されており、幅広いニーズがあると考えています。画像解析技術を用いて人の運動について考察することは私の長年のテーマであり、好きな分野でもあるので、この知見を活用して時々刻々の位置と速度を求める方法を考案しました。

FEATURE

シーズの特徴

さらに手軽に、正確に

解析の際には、まず事前に運動体が映っていない画像を用意し、計測対象が動いている様子の映像を撮影します。背景差分法を用いて、フレームごとに運動体の写っている領域を算出し、その中心部分の位置から時々刻々の速度を求める仕組みです。このようなシステムは前例が少なく、スポーツの分野では、選手の背中に当てたレーザーが反射する時間を利用して速度を求めています。その場合は、レーザーを真後ろから当てる必要があり、装置も非常に高価なので、試合などの実際の場面では使いにくいものでした。このシーズは、歩行速度の場合は1秒間に30フレーム、走行速度の場合は1秒間に100 200フレームの映像を用いますが、普通のビデオカメラやスマートフォンと同程度の能力で十分まかなえます。処理能力に関しても一般的なコンピュータで十分であり、実用性が向上しました。また、ごく厳密な手法を用いた測定結果と比較した場合の誤差が小さく、精度の高さも評価されています。

VISION

解決したい未来

歩行・走行速度の計測で健康な未来を実現

実用化に向けて、AIを使って一つの映像に映る複数の人物の識別に取り組もうと考えています。また、現時点でも画像処理を始めてから数秒程度で算出は完了するのですが、将来的には、撮影しているスマートフォンの画面上にリアルタイムに速度が示されるようなアプリやシステムの開発につなげたいです。
歩行・走行速度計測のニーズは、スポーツ分野以外でも高まっています。例えば、医療現場では10メートル歩行テストというものが行われており、高齢者の寝たきりリスクを測る重要な指標として時々刻々の速度が必要とされています。実用化に向けた企業との出会いにより、健康状態の診断・管理・増進に役立てたいです。

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