立命館大学 大学見本市

分野

情報通信

「ネタバレ」が嫌いな
ユーザにぴったりな
ストーリー検索システム

A story retrieval engine especially for users disliking spoilers

SDGs4
情報理工学部
西原 陽子 准教授

OVERVIEW

研究の概要

どうやって「ネタバレ」なくストーリーを把握するのか

漫画や映画の中の代表的なシーンや小説のあらすじの説明文などを先に見てストーリーを知ってしまい、楽しみを奪う「ネタバレ」。本技術はネタバレを防ぎつつ、ストーリー検索を可能にする技術です。その仕組みは、ストーリーを構成するオブジェクトを抽出し、出現頻度を積み重ね棒グラフで可視化するというもの。オブジェクトの出現変動を可視化することによって、大まかなストーリーをネタバレなく見ることが可能です。ここでのオブジェクトとは、キャラクターの名前や地名、キャラクターたちが使うアイテムの名前など。ある程度ストーリーを知っている人であれば、出現頻度の推移で大体の話の流れを想像して「この巻は既に読んだ」などと判断ができ、シリーズ漫画の買い飛ばしや重複買いを防ぐことが可能になります。また、新しく読む漫画や本を探している人にも活用できるシステムです。ある漫画を起点に、登場人物の出現頻度の推移が似た動きをする漫画を抽出すれば、ネタバレすることなく、似た雰囲気の漫画にたどり着くことができるでしょう。読者にとっても、販売側にとっても、作者にとっても利点のある技術ではないかと考えています。本技術は関西大学の山西良典先生、立命館大学西原研究室の韓毅弘さん、今泉港大さん、雷凱風さんとの共同開発技術です。

FEAUTURE

シーズの特徴

物体・画像認識技術を取り入れ、よりリッチな検索へと進化する

ネタバレの基準は人によってさまざまなため、パーソナルにカスタマイズして検索できるようにする必要があります。データベースに登録するオブジェクト項目を増やし、検索時に項目ごとに絞り込めるようにすることで、よりパーソナルな検索を実現させます。現在の検索システムのデータベースは手動登録ですが、物体認識や画像認識システムを活用してオブジェクトの自動登録も想定しています。ディープラーニング(深層学習)の研究は近年目覚しい発展を遂げており、多くの研究成果が上がっていることから遠くない未来に実現できると考えています。また、現在はストーリーの盛り上がりポイントを検出する手法の開発に力を入れており、徐々に形になってきました。これにより、同じ盛り上がり方をする他の漫画を探したり、内容の類似性を見ながらおすすめ作品を挙げたりすることが可能になります。活用次第では、漫画や小説の編集者の教育支援にも有効かもしれません。

VISION

実現したい未来

コンテンツを守りながら楽しむために活用してほしい

この検索システムは小説や映画、ドラマなどさまざまなメディア作品に展開できます。ドラマや映画などに対応していけば、動画配信サイト内の検索システムの一つとして導入することも効果的でしょう。また、教育への応用にも期待しています。漫画には、学習漫画など、人々の理解を促進し学習を促す力があります。このシステムを活用し、漫画に触れる人が増えれば、生涯学習の促進にもつながるのではないかと考えています。漫画は日本が誇るポップカルチャーです。作品と作者を守り、きちんとした形でコンテンツを届けていくことが求められるでしょう。コンテンツを大切にしながら多くの人に楽しんでもらうために、活用いただきたいと思っています。

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