立命館大学 大学見本市

分野

装置・デバイス

あなたにだけ届く
パーソナル香り環境

Perosnal Scent Enviroment for only you

SDGs11
情報理工学部
野間 春生 教授

OUR FIELD

研究の概要、狙い

VRにおける香りを研究する

学生の頃からバーチャルリアリティ(VR)、とくに触覚や嗅覚の研究をしています。鑑賞者の嗅覚を刺激するには、香りをいかに素早く届け、いかに素早く消すかという課題があります。4Dムービー等において静止した鑑賞者へ香りを届ける方式は実用化されていますが、現在主流になりつつあるヘッドマウントディスプレイを装着して空間を自由に動き回るパーソナルなVRシステムでは、一人ひとりに違う香りを提示し、手早く消臭できる、新しい仕組みが求められていました。そんななか、学内の研究者からヒントを得てこのシーズをひらめきました。学内では、グループ研究などを通じた研究者同士の交流機会が多くあります。自分の専門の枠を超えた分野でもすぐに意見をうかがえるような環境も、研究を進めていく上では有利だと感じています。

FEATURE

シーズの特徴

まったく新しい空気砲の誕生

上述の課題に対して、空気の渦を使って香りを運ぶ方式が一つの解決法になるのではないかと考え、まったく新しい原理の空気砲を考案しました。空気砲の噴出孔の前に微量に滞留させた香りや、空気砲の中にチューブで吸い上げた香りを、空気の渦に乗せて鑑賞者の鼻に直接届けます。従来の空気砲は穴のあいた箱を叩く方式で、渦の大きさ・速度・射出距離が穴の大きさによって一意に決まってしまう難点がありました。しかし、この新装置は電磁弁群の動作を切り替えて、複数の小孔の空気射出量を個別に選択できます。仮想的に穴の大きさを変えることにより、一つの空気砲で、サイズや距離がさまざまな渦を射出することが可能になりました。さらに、従来の空気砲では不可能だった条件、たとえば、旋回運動を加えて直進性を高めるライフリングや、外縁を陽圧、中心部分は負圧とするドーナツのような射出方式を含めて、名城大学と共同して最適な射出パターンの研究をしています。

VISION

解決したい未来

香りを活用し、生活をさらに豊かに

今後は、狙ったところに狙った速度で、まっすぐに香りを届けられるようにすること、設置しやすい機材を安く速く作成するための軽量化を目指しています。VRでの活用だけでなく、車の運転席だけに眠気醒ましとなる香料や刺激物を届ける活用方法や、つねに酸素や薬を必要としている患者に必要なものをチューブなしに届ける活用方法を考えています。 このシーズは香りのディスプレイという位置づけです。視覚や聴覚だけでなく、香りを提示してサインを送るという嗅覚を通じたコミュニケーションの媒体として活用し、生活を安全で豊かなものにしたいと考えています。見本市では、活用の道をともに考えていけるパートナーとの出会いに期待しています。

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