
◉読書に没頭した青春時代
白川静先生は1910年4月9日に福井県に生まれました。「目が悪くなる」と母親から注意されるほど、小さいころから大の読書好きでした。13歳になると、昼は働き、夜は学校に通う生活を始めます。
小学校卒業後、大阪の法律事務所で住み込みで働きながら、勉強を続けました。その法律事務所には、漢詩集をはじめとする多くの蔵書があり、自由に読むことを許されていました。
これらの本に、夢中になり「一生、読書をし続けよう」と決意したのです。
◉文字研究の世界へ

読書を進めるうちに、だんだんと「東洋」という言葉に心をひかれ始めます。その中で、日本最古の歌集『万葉集』と中国最古の詩集『詩経』を比較しようとしました。
そのためには、中国の古代文字を勉強しなければならないと考え、教員を目指すようになったのです。