細胞外からのシグナルに応答して，細胞は自律的に動くことができます。例えば，血液中の血球細胞の１つである好中球細胞は，細菌から放出される物質を感知して，細菌の方へと自律的に動き，細菌を捕食し，感染を防いでいます。このように，細胞は環境からのシグナルを検知して，動くために細胞の骨組みである細胞骨格を適切な場所で，適切なタイミングでリモデリングさせることで，細胞の形を変化させ，動く駆動力を生み出します。しかし，細胞内の適切な時間と場所で，細胞骨格をリモデリングさせる仕組みは明らかではありません。私たちは，細胞骨格のリモデリングの時間と空間的な制御原理を明らかにするとで，細胞の自律的な移動の原理を明らかにすることを目指しています。細胞移動以外にも細胞骨格のリモデリングのタイミングによって制御されている血管と組織の物質交換に関わる血管透過性制御の仕組みについても解析しています。