知事リレー講義
ライン
   20081225      沖縄県知事 仲井眞弘多 様


 「沖縄の過去・現在・未来 
      〜歴史に学び、現状を見極め、将来を展望する〜」


T.はじめに


  今日は沖縄県のPRも重なってしまうかもしれないが、知事として私がどのような沖縄県をつくりたいと考えているか、ぜひ聞いて頂きたい。

 

U.国と地方との関係

 国と地方との関係において、私は福沢諭吉のいう「独立自尊」の気概というのは非常に重要だと考えている。つまり、国は何らかの仕事をするにあたって、地方のことをきちんと踏まえていなければ齟齬が生じてしまう。それに対して、地方は自らの意見や納得を重視することが大切である。これは、沖縄県政の基本となっている。
 例えば、外交や防衛の面で、事務的なことは確かに国が行えば良いが、実際には様々な条件がからんで沖縄にも影響してくる。米軍の再編成の問題にあたっては、様々な経緯もある。
 私がこのようにお話すると、それは沖縄のエゴと受け止められるもしれない。しかし、それは違うと私は思う。どの地方でも、似た側面があるのではないだろうか。つまり、国の仕事に対して、地方が関係してくるのなら、その地域のことを踏まえ、そして地方とすり合わせていかないなら上手くいかないだろう。
 米軍の問題については、内地と沖縄とで立場の違いはあるかもしれない。しかし、地方ということを考えた場合、地方の意見、地方の納得が必要だという点では違いはないと思う。したがって、国との関係を考えた時、私は福沢のいう独立自尊と地域の実情をふまえることが大切になってくるだろうと考えている。


V.沖縄の現在


  皆さんの中には、沖縄では米軍基地が大きな位置を占めている、という先入観があるかもしれない。しかし、県民所得に占める米軍関連の割合はわずかに5%でしかなく、我々は観光やその他のことできちんと自立している。
 そして、沖縄県の人口は増えている。それも自然増である。つまり、亡くなる人よりも生まれてくる人の割合が多い。これは、まだ15年くらいは続くと予想されている。逆に、人口が減ると沖縄の島々は高齢者が増えてくるので、人口が減少しないための対策をとろうと今から考えている。
 また、沖縄の人間というのは地元志向が強く、戻ってこようという気持ちが強い。ただし、そこに雇用の問題が存在している。失業率を下げるのが、私の公約の一つである。そのためには、産業の確立ということになるのだが、沖縄県には産業は一通りそろっている。
 なかでも、特筆するべきは、観光だと思う。自然を活かして、観光リゾート産業を展開したいと考えている。また、沖縄はITにも強い。東京や大阪からネットワークをつないで、コールセンターやソフトウェア、データ開発を行っている。ITは時間と距離を超えることが可能であり、また女性が進出しやすい分野でもある。

 

W.将来に向けて

  沖縄の将来をどうしていくかについて考えた時、やはり米軍のことを切り離して考えることはできない。しかし、これは決して、アメリカ人すべてに対して感情的な思いがあるということでは、もちろんない。
 米軍基地の問題を一言でいえば、それは事故や事件が多すぎるということである。毎日10件くらい起こっており、年間にして120から130件である。我々としては、これをゼロにしてほしいと言っている。
 その解決には、日米地位協定の見直しも必要になってくると考えている。これは50年も前のものであり、今の社会の実情にそぐわなくなっている。米軍兵士が事件を起こしても、日本の法律で捕まえることもできない、裁くこともできない。これでは、米軍兵士に緩みが生じてもおかしくはない。



質疑応答

@ 自然増による人口の増加は、何が要因と考えられるか。
→これは実は、専門家でも特定するのが難しい。核家族化が進んでいない、というのが挙げられるかもしれない。
A 沖縄県に、野球の球団が誕生する予定はないのか。
→沖縄県は高校まで野球が強いので、高校の先生からは要望がある。しかし、まず社会人のチームを増やしたいと考えている。今、不景気で減ってしまっているので。





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