「福岡市の成長戦略 〜アジアのリーダー都市を目指して〜」
福岡県の中には福岡市と北九州市の二つの政令市がある。今年はホークスが日本一となった。屋台やラーメンが有名で、福岡・博多は一年中お祭りをしているという特徴もある。博多どんたく祭りや博多祇園山笠がある。
場所的には、福岡から京都に行くのと、福岡からソウルに行くのが、同じくらいの距離であ る。また、福岡から東京に行くのと上海に行くのも同じくらいの距離である。そのため、私はアジアに対する感覚が他の首長と全然違う。
釜山までは飛行機で35分、船でも3時間で着く。そのような感覚でいくと、大阪や関東、東北の首長と話すと、アジアに対する距離感がぜんぜん違うと思う。
皆さんはあまり福岡市のことを知らないと思うので、まずデータ的なものを示したい。政令市の中で、大学生の数は京都市に次いで2位となっている。若者率も19.2%で政令市中1位である。また、その中でも女性の割合も最も高い。
空港から5分で博多や天神といった商業の中心地区に着くといったように、コンパクトなまちとなっている。家賃も大変安く、3LDKに7万3千円ほどで住むことができる。通勤時間も30分未満の人が大半となっている。タクシーで帰っても、2,000円未満で76%の人が帰宅することができる。雑誌でも、「住んで良かったまち」として1位となっている。
仕事の割合では、全体の9割以上が第三次産業となっているが、毎年これが2〜3%ずつ縮小している。
これから少子高齢社会に入ると、福祉に対してコストが大変かかってくる時代となる。一方で、生産年齢人口は少なくなる。これからお金がたくさんかかる時代に入るが、福岡市の9割以上を占める第三次産業が縮小してくるのは問題で、これにどう対応するかが今日のテーマとなる。
福岡市をアジアのリーダー都市にしたいと思うが、「リーダー都市」と言われてどのようなものをイメージするか。上海やマカオなど、勢いのあるまちに比べて、日本がそのようなリーダー都市になれるのかというイメージを持つかもしれない。
しかし、上海はユニークな建物があるが、川や海を見ると汚れている。リニアモーターカーが空港から出ているが、貧富の格差や犯罪を見たときに、そのようなまちを目指して生きたいのかというと、それは違うと思う。豊かさの前提である都市の成長や経済成長は必要だが、プラスアルファの価値観を今求めている。
川は美しく、自然と共生し、人類が目指すべきまちのありかたがあるのではないか。そのような価値観を追求し、ビルの高さが一番高いというリーダーではなく、尊敬され、みんながそうなりたいと思うような都市を目指していきたい。
コンパクトな都市で、山に囲まれ、海もあり、国境に面してアジアが隣にあるということは、人と環境の調和がとれた都市を体現するのにふさわしいと思う。
来年度の予算の方針は、「都市の成長」と「暮らしの質」である。「ユニバーサルシティ福岡」として、誰にとっても住みやすい都市をめざす。
行政に入って分かったが、例えば、こどもの虐待があればこども未来局が対応する。高齢者関係は保健福祉局が担当する。障害者も保健福祉局が担当する。道路をバリアフリーにしようと思うと、道路下水局となる。このように局がバラバラで、横の連携がとれていない。縦割りとなっており、連携が難しいという印象がある。
そこに横軸を通すのが、政策として大変大事なこととなる。その概念が「ユニバーサルシティ福岡」である。
このためにはお金が大変かかるため、そのお金をどうつくっていくかということが問題となる。これから少子高齢化時代に入るが、そのような中でどうやって「都市がお金を稼ぐか」がキーワードとなる。まちにエンジンをつくらないとならないが、それをどうつくるかが大事なテーマである。
すぐにエンジンをつくることはできないため、短期・中期・長期と分けて進めていく。
短期的には、消費の減少を交流人口で補うため、コンベンションを中心とした観光産業を推進する。人が集まるようなモノ・コトがコンベンションの概念である。
京都は歴史というコンテンツで人が集まって来ており、京都はストーリー性を持っているのが特徴である。博多は京都以上に歴史が長いが、京都と違うのは、ストーリー仕立てになっていないという点である。
また、食に関しては、種類が大変ある。魚もおいしいが、ラーメンをPRしても、観光客が増えるわけではない。コンベンションでは、例えば大きな学会を行うと、2泊3日で15,000人が来ることになる。短期的には、交流人口を集める中でも、日付がはっきりしているコンベンションを推進していく。
中期的には、最先端技術の産業化、企業誘致を進める。福岡には先端技術がたくさんあり、省エネ技術を開発する拠点ともなっている。最先端の研究をいかに早く商品化し、商品のニーズをいかに研究していくかが重要となる。そのため、産学官の連携を進め、ふだんから顔をあわせる環境を作っている。
また、クリエイティブ層、デジタルコンテンツが非常に強いという特徴もある。アニメ、映像といったコンテンツは、これまでも福岡出身のアーティストはたくさんいるが、みんな福岡で育って東京へ出て行く。それは、出口が東京にしかなかったためである。これまではクリエイターを育成していたが、育ったら東京に出て行ってしまうという状況となっていた。その出口を福岡で作るように取り組んでいる。生活の質の高いまちとなり、ヒトや企業が集まってくるという循環をつくりたい。
観光にはどのくらいの経済効果があるのかを見ていきたい。福岡都市圏では10兆円の総生産がある。そのうち、直接消費で2%、間接効果も含めると5%の効果があると推計されているが、これはもっと大きくなると思う。観光に関連があると思われる産業だけでなく、ここに含まれない不動産が動き出すなど、もっと活発になると思う。この推定は潜在力が発揮されていないと思っている。
私は就任してから、観光に大きく舵を切っている。来年からボイジャー・オブ・ザ・シーズという3,800人乗れる大型クルーズ船が入ってくる。今でも1.800人乗れるクルーズ船が来ているが、この経済効果は、一人33,000円使ってくれるため、約6,000万円の直接消費のお金が入っていることになる。この消費単価は上がってきており、最新データでは44,000円ほどという推計もある。
つまり、3,800人の船が来ると、約1.7億円の直接消費となる。船では持ち帰り荷物の量に制限がないため、電化製品を買って単価をあげてくれる。2012年度には、すべてのクルーズ船からの直接消費は約80億円と見積もられている。
先日、内閣府で、「”Visit
Japan!”外国クルーズ特区」のプレゼンをしてきた。3,800人が入国審査を受けると、最後の人は3時間もかかってしまうため、窓口を増やしたり、海外から船に乗り込み、船内で入国審査を行うといったことも盛り込んでいる。
釜山では5時間で3,000円ほどでガイドを雇うことができるが、日本では、ガイドが国家資格となっているため、大変難しい。しかし、クルーズ船は、何泊も寄り添って日本の文化を話すわけではなく、短時間で名所を一気に見るというものである。そのため、そこまでの技術がなくても大丈夫である。
福岡にはアジアからの留学生が多く、この人々を活用できないかということで、通訳ガイドのことも盛り込んでいる。また、日本では化粧品などが免税の対象となっていないが、免税にすることや、免税店をつくることも提案してきた。
クルーズ船よりも経済効果が大きいのは、国際コンベンションで、これは1人54,000円の消費をしてくれる。また、国際会議で世界から人が来た場合、海外の人は家族を連れてきてくれるため、非常に経済効果が高い。学会もあれば、スポーツのコンベンションもある。
今、2013年のフィギュアスケートのグランプリを開催してほしいと名乗りをあげている。福岡はまだまだ海外での知名度が低いため、「福岡」という名前のブランディングの努力をしていくことが重要となる。
国際会議の件数の1位は東京(23区)で、497件となっている。福岡は2位で、206件となっている。なぜ福岡がこれだけ多いかというと、コンベンション施設が充実しており、空港や駅からの交通アクセスが大変良いという点がある。
また、アフターコンベンションのための施設も充実している。会議をきちっとした後にみんなが交流できる場も重要な要素となる。
コンベンションやクルーズ船で来た人に、福岡のファンとなって、観光客としてリピーターになってもらいたい。クルーズ船でざっと見に来た後に、福岡にまた来て欲しい。そのような人に、どのように福岡で動いてもらうかが重要となる。
思ったことを調べようとしても、言葉が壁となる。その時に、海外の人が自分の母国語で検索できるということが重要となる。福岡には空港があるため、高い建物は建てることができない。地下街にいろいろなお店が並んでいるが、地下街で無線LANが無料で使えるようになっている。
来年度予算では、福岡市地下鉄の駅でも無線LANを整備することを盛り込んでいる。人が集まる拠点でただでワイファイを使えるようにし、思いを行動に移せるようにする。
また、来年度から、福岡市で二階建てのバスを走らせる。福岡にはきれいな海もあり、歴史もあり、見るところもたくさんある。福岡の特徴はバスの保有台数が日本一であるということ。とにかくバス網が大変発達している。しかし、観光客は福岡に来てもなかなかバスには乗らない。そのため、誰が見ても分かりやすいように、色分けを導入したいと思っている。
いかに滞在時間を長くするかという点は、簡単に言うと、いかにしてあと一泊してもらうかということである。それは、夜の魅力をどう作るかということである。日本は夜がつまらない。夜の魅力をいかに作るかが大事となる。また、まちの独自性をどれだけだすかという点も重要で、どこでもあるようなお店を出すのでは、福岡に行く理由とはならない。
福岡市では、今年から「屋台課長」という職をつくった。屋台はあと10年くらいでかなりの数がなくなると見込まれる。公共の空間で営業することは基本的には許されないため、福岡市では、屋台は1代限りという特例をつけて営業を認めた。しかし、地域ともめているケースもある。公共空間をどのように使えば、民間の活力が地域の力になるかということを、屋台問題を通して、福岡市民に問いかけている。
公共空間を再配置することで、どのようにすればまちが活性化するか、市民の合意を得られるかという実験である。これからは、行政が何でもかんでもするのではなく、民間を巻き込んで活性化していくかが課題となる。
今年3月12日に九州新幹線が全線開通し、博多から熊本駅まで33分で行けるようになった。鹿児島までも熊本から46分となった。これからは、博多においでというのではなく、九州においでという話となる。鹿児島市長や熊本市長といっしょに海外へPRに行ったりもする。福岡市は九州の中では一番都会である。いかに都心部が輝くかが、九州全体がどれだけ都会かということにつながると思う。
今はなかなか経済的にも厳しく、まちを生まれ変わらせるといってもなかなか活力をつくれない。天神は商業のまち、博多駅は九州の玄関口、ウォーターフロントは海外からの海の入り口となっている。
この間にいかにポイントを作っていくかという「みちづくり」がポイントとなる。例えば、きらめき通りではデパートの建て替えにあわせ、敷地の一部を公共の空間とする代わりに、容積率の緩和を認めるということをした。そして、民間の土地であるが、道路のような公共的空間をつくった。そのようなことをすると、民間としては損ではないかと思うかもしれないが、セットバックで建て替えるかわりに、容積率の緩和というメリットがある。行政としてはお金を一円も使わずに、民間としてもフロアの面積を変えずに、人の流れをつくることができた。
また、特定都市再生緊急整備地域の指定を今国土交通省に必死でプレゼンをしている。この指定を受けると、国からの補助事業が来たり、税制の優遇がなされたり、手続きの緩和で、まちづくりをスピード感をもって進められるようにしていく。国の方針を活かしてまちづくりを行っていくことが大事なのだとこの一年間感じた。
福岡が発展していくためのもう一つの柱は、海である。港が地域の経済に与える影響は大きい。福岡にとって嬉しいことが2週間前にあった。それは、日本海側拠点港に指定されたということである。日本の港の中で、国家として戦略的な拠点港にするということで指定された。
今、世界の成長点はアジアである。アジアの活力を入れないといけないというのはなんとなく分かるかもしれないが、具体的には分かりにくいだろう。人流と物流が大事だが、物流の99%以上は海から入ってくる。福岡からすると、東京に行くより上海に行くほうが近い。福岡からはアジアの都市まで一日で行くことができる。飛行機では大差ないが、船となるとその差は大きい。
福岡はアジアの活力、物流という点では大事なポイントとなる。アジアが主役となって海が舞台となったときに博多は蘇ると思っている。船では、航空機の5分の1のコストと40分の1の環境負荷で、輸送することができる。博多港からJR貨物の博多駅までは1.7Kmで、大変近い。この1.7Kmの区間だけ、外国のナンバーのまま走行を認め、IC通関をしてほしいということもプレゼンしている。
経済的な発展に力を入れたいのは、暮らしの質にしっかりお金をあてていきたいという思いがあるためである。これからの少子高齢化時代は、アジアの中でも日本が最初に迎える。生産年齢人口は減るが、コストは増えていく。また、生活保護のコストも毎年100億円ずつ増えるという試算もある。そのような状況では、都市が稼ぐということが重要となる。
来年にはユニバーサルシティ福岡フェスティバルとして、それぞれの取り組みを統合し、みんなで地域を見守っているというイベントをしようと思っている。障害者「問題」と捉えるのではなく、どうやったらみんなが笑えるまちをつくれるかという視点で進めていく。来年の10月には、福岡で国際ユニヴァーサルデザイン会議が開かれる。
アジアのリーダー都市という部分では、経済の成長についてまわる犯罪という問題がある。私が就任してからも手榴弾による爆破事件が数件あった。発砲事件もあたりまえのような感覚となっている。指定暴力団の数も多い。これを何とかしたいということで、警察庁、法務省、公安委員会に抜本的な改正を求めている。物証がつかめないと検挙できないが、それでは市民も不安を感じる。
一ヶ月ほど前に警察庁が暴力団対策法の改正に向けた有識者会議を設置した。これは、地方の意見が取り入れられたということだと思う。暴力団排除条例を福岡市では設置している。
もうすぐ就任して一年だが、いろいろ取り組んでいる。なぜこのようにスピ ード感を持って取り組んでいるかというと、非常に焦りがあるためである。発展途上国の10年前と今を比べると、想像がつかないくらい発展している。
日本はまちが8時間しか動かないが、他都市では24時間動いている。それだけでも、3倍の差となる。このままではいけないという危機感がある。日本は今まさに有事である。日本が有事になったときにいかにリーダーシップが必要かということを感じている。
しかし、独裁ではいけない。福岡では、いかに福岡のまちが成長していくのかという成長戦略を今作っている。
東京を中心に1,000Kmの円を描くのと福岡を中心に1,000Kmの円を描くのとでは、入ってくる都市は大きく異なる。福岡を中心に描くと北京や天津、青島、上海、大連、ソウル、釜山といった都市も入ってくる。これから都市間競争に勝っていくためには、九州で一体となりたいが、少なくとも福岡県508万人で一体になっておかないといけないと思う。
九州の中で一番大きい福岡市は、みんな協力しようといいやすい。垣根を取り払って、強みを生かして都市間競争に勝っていかないと、少子高齢社会には対応していけないと思う。
問 今の経済情勢を見ると、円高は中長期的に続くのではないかと思う。その中で、どのように観光産業を振興していくのか。
答 東日本の震災があり、クルーズ船は直後からキャンセルとなり、一隻も来ないという状況となってしまった。私が北京や上海に行きPRをしている中で、8月からは完全に戻った。観光PRでは、韓国などには直接プロモーションに出かけ、震災の影響はかなり回復している。6割強から7割の観光客が福岡に関しては戻ってきている。
もう一つは、本当のファンをどのくらい作るかということが大事である。今、中国の人は北海道によく行く。それは、ドラマや映画で見て、実際に行ってみたいと思うためである。福岡でも映画やドラマの誘致をしている。ソフト面からの福岡のブランディングをしていけば、どのような状況でも本当に行ってみたいと思う。いかにそう思わせるかが大事で、簡単に言うと、ダイレクト便があるというのは大きい。
今、直行便を増やす誘致も積極的にしており、2〜3か月に1路線の割合で増えているのではないかというくらい、福岡空港にはアジアを中心とした世界からの路線が増えている。観光ガイドで絵を見たときに、そこに行ってみたいと思ってもらうことが大きな力となるため、ビジュアル力のあるものを作ろうとしている。絵で見て楽しそうだと思ってもらうための取り組みをしている。
問 福岡空港はかなり逼迫した状況だが、さらに路線を増やすと空港が機能しなくなるのではないか。
答 福岡空港は利便性が高く、博多駅や天神にも地下鉄で5分で行くことができる。博多駅へ行けば、そこから九州・本州に新幹線でつながっている。利便性が高すぎて、福岡空港は今リミットに近い状態となっている。
朝・夕は飛行機が列をなして待っている。それに対応するため、今は滑走路の増設や誘導路の複線化を進めている。これと同時に路線の誘致を行っている。北九州市にも空港はあるが、これは稼働率がいまいちとなっている。他の空港を使いましょうと言っても、実際問題、使う人は利便性で選ぶ。やっぱり便利な空港を使いたがる。
問 テレビの仕事から市長となるときに、前職が生かされた点や、困った点があれば教えて欲しい。また、外国人を多く誘致すると、自国の文化が壊れる懸念もあるが、その対策はとっているか。
答 自国の文化という点では、文化が壊れるという意見もあると思う。しかし、移民を大量に受け入れるとなると話は別だと思うが、あくまでも交流人口という中である。
福岡はもともと何かの産業があって栄えたまちではない。今でも海に行くと漂着物があるように、海流が大陸から福岡に到着するという海流となっている。今は飛行機や高速船もあるが、昔は人が船に乗って漕いで文明は渡ってきた。
海流などから見て、一番安全に流れ着く場所に文化は集まっていく。博多はまさにその地であった。そうした中で、福岡は平野になっており、左右が山に囲まれている。港に着いた文化はできるだけ平地を走って伝えていきたいと思われていた。福岡に到着すると、筑後平野につながる入り口があるが、その拠点が福岡であった。
福岡がここまで栄えてきたのは、異文化としての交易拠点として栄えてきたためである。このように、日本とアジアをつなぐ玄関としての役割を果たしてきた。市民のアンケートをとっても、アジアに対するイメージを東京と比較しても比べ物にならないくらい親和感をもっている。博多山傘などの伝統を守りつつ、オープン感もある。どこから来た人に対してもオープンな文化がある。
前職との変化では、もともとこのようなことがやりたかった。学生時代はパレスチナ問題に興味があった。何とか自分も中東和平に貢献したいと思っていた。本当は学者になりたかった。日本で報道される内容と現地に行ったときに思うことは全然違う。中東やパレスチナに行ったと言うと、危ないと思うだろう。一方で、アメリカやスイスに行ったというと、そのようなことは思わないだろう。しかし、なぜそのような差が生まれたかを考えたことはないだろう。現地に行くと、パレスチナの人は日本が大好きと思っている。しかし、日本人は一方的に相手は怖い人だと思っている。そのような既成概念はどこから生まれたのかということに大変興味があった。
そのようなことを研究するために、学生時代は現地に行っていた。やはり政治というものが環境をつくっていかないと、ものは動いていかないのではないかと思い、将来的には政治を志したいと思った。しかし、いきなり立候補しても選んでもらえないため、自分の方向性と社会人としていろいろなことを知っていきたいと思ったことが合致したのがアナウンサーだった。
大学3年生の試験が始まる直前にアナウンサーになると決め、受験を始めた。いつ天が使命を与えるか分からないため、いつ来ても良いように、アナウンサー時代も毎日2時半に起きて番組の内容を決め、番組が終わったら九大の大学院で勉強しながら、準備をしていた。
いつ辞めても良いように、毎日倒れるまでがんばっていた。弾が見えたため、今だと思って打ち返した。若いというだけで年配の人は話を聞いてもらえないという難しさはある。1万人の職員がいる中で、いきなり37歳がトップになるとおもしろくないと思う人もいる。そのような人の気持ちをいかにつかんでいくのが課題だと思うこともある。
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