「タイ放浪記 −旅行では味わえないタイの魅力(?)−」
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第8回 タイの大学編

 タイへの訪問は、やはり仕事である。大学教員として、タイの大学事情を触れないわけにはいかないだろう。

 まず、学生のことから話してみよう。目に付くのは女子学生が多いことだ。私のいたチェンマイ大学・理学部・生物学科では、8割が女性学生であった。日本と同じで、学部と大学院に分かれている。学部は、制服で、最初は高校に来たのではと思わせた。黒のスカートかズボンに白のシャツ姿である。日本のように厚化粧や髪を染めた学生はほとんど見かけない。だから、学生がとても幼く見えるのかもしれない。



 私のいた研究室は、マスター(M)5年生:一人、M4:二人、M3:一人、M2:二人、4回生:三人、合計9名だった。男は一人だけ。その男子学生は、やはり、8名の女性の中で一人の男は辛いと言っていた。


マスターの学生
研究室にて




チェンマイ大学の4回生
タイで迎えた誕生日にプレゼントをくれた女子学生。嬉しいですね。
(学部生は制服です。)

 タイのお国柄は、男は早くから外で働く傾向にあり、女性の方が高学歴の割合が多いとのことであった。ちなみに、生物学科の教員の約7割が女性である。


研究室で開いてくれた送別会にて

 実験設備は、20年前の私の学生時代よりも設備が無い、というのが率直なところだ。例えば、遠心機は3年前と同じで故障したまま・・・。吸光度計は、10研究室で共有している。もちろん、石英セルはそのたびに借りに行かなければならない。

 ただ、徐々には進化しており、3年前には無かったインターネットや最新鋭のシェーカーや電気泳動装置が導入されていたのには驚いた。

 実験室も、エアコンが入り始めているが、やはり汗を垂らしながらの実験を覚悟しなければならない。日本で研究できることの幸せを肌で感じる瞬間である。





実験室
天井の扇風機が暑さを少々和らげてくれます。

 次に、キャンパスについてお話しよう。

 チェンマイ大学は、1964年に設立された国立の大学である。17学部を擁し、タイ国内においては屈指の有名大学だ。キャンパスは、軍隊の敷地跡に設立され広大である。周囲が約8kmあるから、キャンパスの端から端まであるくと、汗が滴り落ちる。外の暑さと広さでとても歩けた距離ではない。今年から、キャンパス内を周回する無料で走る、かわいい電気バス(15人乗り)がお目見えした。

 建物は、お世辞にも計画的に建てられたとは言いがたい。次から次に増築を繰り返したという印象だ。特に、私のいた理学部・生物学科は継ぎはぎだらけで、至る所に段差があった。特に、古い建物の最上階は、激しいスコールのとき、雨漏りに注意しなければならない。私も何度となく、雨漏りに悩まされた。ただ、建物が老朽化したため、2年後には、9階建ての新しいビルに移転するということのようだ。


チェンマイ大学理学部前にて

キャンパスのあちこちには、南国特有の大木が茂っている。ところどころに、バナナやマンゴー、そしてヤシの木々が南国を感じさせてくれた。


スコールの中のキャンパス

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Last Up Date: 2002.12.1