→法務研究科OG 三木 笑さん

法務研究科 研究科長 市川正人教授

法務研究科 研究科長市川正人先生に法科大学院の教学について伺いました。
立命館大学法科大学院 法務研究科が目指す「21世紀地球市民法曹」とはどのようなものでしょうか。
市川

法科大学院は、そもそも今後の法曹界とそこで活躍する人材を育てる「法曹養成」の役割を持っています。その中でも、立命館大学法科大学院法務研究科が目指すのは、「21世紀地球市民法曹」の実現です。「21世紀地球市民法曹」とは、グローバルな視点と鋭い人権感覚を持ち、各専門分野において活発に活動する法曹のことです。グローバル化の流れとともに、現在の法曹には国際的な場での活躍が求められるだけでなく、たとえ地域に密着した法的問題でも、地球規模の視点をもって対応することが必要とされています。法務研究科では、こうした時代の変化に対応し、国際的視野を持って様々な専門分野で活躍できる人材の養成を目指しています。

本学の授業カリキュラムにはどのような特徴があるのでしょうか。
市川

まず基本科目で法学の基本を徹底して学び、その上で先端・展開科目によって専門性を高める、という段階的なカリキュラムとなっています。ここで特徴的であるのが、先端・展開科目の「プログラムパック」です。立命館大学法務研究科には、「先端・企業法務」「国際・公共法務」「生活・人権法務」の3つの専門系統があり、他大学に比べても専門科目の種類と数が大変充実しています。しかし、それらを興味・関心のみでバラバラに履修しても、真の専門性は身につきません。そこで、系統的で効果的な学習を可能にする、講義と演習を組み合わせた「プログラムパック」という形で履修することで、確かな基礎力と専門性を得ることができます。

また、法曹界の第一線で活躍している先生方が専任教員となっていることも特徴的です。刑事訴訟、税法務、国際取引法務、企業法務など、各専門分野において豊富な知識と経験をもって活躍している実務家の先生方から、学生は実務に密着した知識を学ぶことができます。

朱雀キャンパスに移転したことの効果と今後の展開について教えてください。
市川

朱雀キャンパスに移転したことで、アクセスが容易になったことは、様々なメリットをもたらします。まず、遠隔地からも優秀な先生を招くことができるようになり、より充実した授業を展開することが可能となりました。また、法科大学院では一般の方からの法律相談の場として「リーガルクリニック」を開設していますが、キャンパスの移転によって、より多くの人に利用してもらえるようになると思います。リーガルクリニックは学生が実務と触れ合う重要な勉強の場となり、さらに大学を社会や市民にとって開かれたものにする存在として重視しています。

さらに、キャンパス内の充実した施設も、学生の学びの充実と社会とのつながりを広げる効果があると言えます。自習室には研究科院生全員分の席を配置し、図書館には充実した専門書を揃えて、学生が集中して学習できる環境が整っています。そしてキャンパス内のホールでは今後、専門家を招いての講演会なども予定されています。朱雀キャンパスへの移転により、法務研究科がより活発な学びの場となることが期待できます。

法曹を目指している学生と学部生全体へのメッセージをお願いします。
市川

まず、現在本学の法務研究科で学んでいる院生には、とにかく大学での勉強に打ち込んで欲しいと思います。司法試験等の対策も、大学での学びを徹底して行った上で、初めて意味のあるものになります。司法試験の結果を分析してみると、大学での成績の良し悪しがそのまま司法試験の結果に反映している傾向もあります。その意味では、大学を信じて授業に打ち込めば、各人の望む道が開かれるはずです。

そして学部生の皆さんには、将来の進路として法曹を選択肢に入れることを、真剣に考える機会を持ってもらいたいと思っています。まずは法曹の仕事について知ることからはじめて欲しいです。法務研究科には法学部出身者以外の人が入学できる未修者枠もあり、実際に多くの学生が入学して学んでいます。自分の進路に対して、選択肢を広げて意欲的に考えてほしいと思っています。

取材・文原 美和子(政策科学部4回生)